text:k_konjaku:k_konjaku28-20
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text:k_konjaku:k_konjaku28-20 [2015/02/14 18:55] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:k_konjaku:k_konjaku28-20 [2016/03/21 17:05] (現在) – [巻28第20話 池尾禅珍内供鼻語 第二十] Satoshi Nakagawa | ||
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其の時に、童の手篩(ふるひ)て、鼻持上の木動き動ぬれば、鼻を粥の鋺(かなまり)にふたと打入れつれば、粥を内供の顔にも童の顔にも多く懸ぬ。 | 其の時に、童の手篩(ふるひ)て、鼻持上の木動き動ぬれば、鼻を粥の鋺(かなまり)にふたと打入れつれば、粥を内供の顔にも童の顔にも多く懸ぬ。 | ||
- | 内供、大きに瞋て、紙を取て、頭面に懸たる粥を巾(のごひ)つつ、「己は極かりける心無しの乞匄(かたゐ)かな。我れに非ぬ、止事無き人の御鼻をも持上むには、此やせむと為る。不覚の白者(しれもの)かな。立ね、己」と云て、追立ければ、童、立て隠れに行て、「世に人の此る鼻つき有る人の御ばこそは、外にては鼻も持上め。嗚呼(をこ)の事仰せらるる御房かな」と云ければ、弟子共、此れを聞て、外に逃去てぞ咲ける。 | + | 内供、大きに瞋て、紙を取て、頭面に懸たる粥を巾(のごひ)つつ、「己は極かりける心無しの乞丐((「丐」は底本異体字。「匄」))(かたゐ)かな。我れに非ぬ、止事無き人の御鼻をも持上むには、此やせむと為る。不覚の白者(しれもの)かな。立ね、己」と云て、追立ければ、童、立て隠れに行て、「世に人の此る鼻つき有る人の御ばこそは、外にては鼻も持上め。嗚呼(をこ)の事仰せらるる御房かな」と云ければ、弟子共、此れを聞て、外に逃去てぞ咲ける。 |
此れを思ふに、実に何かなりける鼻にか有けむ。糸奇異(あさまし)かりける鼻也。童の糸可咲く云たる事をぞ、聞く人讃けるとなむ語り伝へたるとや。 | 此れを思ふに、実に何かなりける鼻にか有けむ。糸奇異(あさまし)かりける鼻也。童の糸可咲く云たる事をぞ、聞く人讃けるとなむ語り伝へたるとや。 | ||
text/k_konjaku/k_konjaku28-20.1423907753.txt.gz · 最終更新: 2015/02/14 18:55 by Satoshi Nakagawa