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text:k_konjaku:k_konjaku26-7 [2014/12/09 16:40] – [巻26第7話 美作国神依猟師謀止生贄語 第七] Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku26-7 [2019/03/15 12:41] (現在) – [巻26第7話 美作国神依猟師謀止生贄語 第七] Satoshi Nakagawa
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 年毎に一度、其れを祭けるに、生贄をぞ備へける。其の生贄には、国人の娘の、未だ嫁がぬをぞ立ける。此れは、昔より近く成まで怠らずして、久く成にけり。 年毎に一度、其れを祭けるに、生贄をぞ備へける。其の生贄には、国人の娘の、未だ嫁がぬをぞ立ける。此れは、昔より近く成まで怠らずして、久く成にけり。
  
-而る間、其の国に、何人ならねども、年十六七許なる娘の、形ち清気なる持たる人有けり。父母、此れを愛して、身に替て悲く思けるに、此の娘の彼の生贄に差されにけり。此れは、今年の祭の日差されぬれば、其の日より一年の間に養ひ肥してぞ、次の年の祭には立ける。此の娘、差されて後、父母、限り無く歎き悲びけれども、遁るべき様無き事なれば、月日の過に随て、命の促(つづ)まるを、祖子(おやこ)の相見む事の残り少く成行けば、日を計へて互に泣悲むより外の事無し。+而る間、其の国に、何人ならねども、年十六七許なる娘の、形ち清気なる持たる人有けり。父母、此れを愛して、身に替て悲く思けるに、此の娘の彼の生贄に差されにけり。此れは、今年の祭の日差されぬれば、其の日より一年の間に養ひ肥してぞ、次の年の祭には立ける。此の娘、差されて後、父母、限り無く歎き悲びけれども、遁るべき様無き事なれば、月日の過に随て、命の促(つづ)まるを、祖子(おやこ)の相見む事の残り少く成行けば、日を計へて互に泣悲むより外の事無し。
  
 然る間、東の方より、事の縁有て、其の国に来れる人有けり。此の人、犬山と云ふ事をして、数(あまた)の犬を飼て、山に入て猪・鹿を犬に噉殺さしめて取事を業としける人也。亦、心ろ極て猛き者の、物恐ぢ為ぬにてぞ有ける。其の人、其の国に暫く有ける間、自然ら此の事を聞てけり。 然る間、東の方より、事の縁有て、其の国に来れる人有けり。此の人、犬山と云ふ事をして、数(あまた)の犬を飼て、山に入て猪・鹿を犬に噉殺さしめて取事を業としける人也。亦、心ろ極て猛き者の、物恐ぢ為ぬにてぞ有ける。其の人、其の国に暫く有ける間、自然ら此の事を聞てけり。
text/k_konjaku/k_konjaku26-7.1418110833.txt.gz · 最終更新: 2014/12/09 16:40 by Satoshi Nakagawa