text:k_konjaku:k_konjaku26-7
差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
次のリビジョン | 前のリビジョン | ||
text:k_konjaku:k_konjaku26-7 [2014/12/09 16:40] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:k_konjaku:k_konjaku26-7 [2019/03/15 12:41] (現在) – [巻26第7話 美作国神依猟師謀止生贄語 第七] Satoshi Nakagawa | ||
---|---|---|---|
行 2: | 行 2: | ||
====== 巻26第7話 美作国神依猟師謀止生贄語 第七 ====== | ====== 巻26第7話 美作国神依猟師謀止生贄語 第七 ====== | ||
- | 今昔、美作国に中参((底本頭注「中参は中山の誤か下同じ」))・高野と申す神在ます。其の神の体は、中参は猿、高野は蛇にてぞ在ましける。 | + | 今昔、美作国に中参((底本頭注「中参ハ中山ノ誤カ下同ジ」))・高野と申す神在ます。其の神の体は、中参は猿、高野は蛇にてぞ在ましける。 |
年毎に一度、其れを祭けるに、生贄をぞ備へける。其の生贄には、国人の娘の、未だ嫁がぬをぞ立ける。此れは、昔より近く成まで怠らずして、久く成にけり。 | 年毎に一度、其れを祭けるに、生贄をぞ備へける。其の生贄には、国人の娘の、未だ嫁がぬをぞ立ける。此れは、昔より近く成まで怠らずして、久く成にけり。 | ||
- | 而る間、其の国に、何人ならねども、年十六七許なる娘の、形ち清気なる持たる人有けり。父母、此れを愛して、身に替て悲く思けるに、此の娘の彼の生贄に差されにけり。此れは、今年の祭の日差されぬれば、其の日より一年の間に養ひ肥してぞ、次の年の祭には立ける。此の娘、差されて後、父母、限り無く歎き悲びけれども、遁るべき様無き事なれば、月日の過に随て、命の促(つづ)まるを、祖子(おやこ)の相見む事の残り少く成行けば、日を計へて互に泣悲むより外の事無し。 | + | 而る間、其の国に、何人ならねども、年十六・七許なる娘の、形ち清気なる持たる人有けり。父母、此れを愛して、身に替て悲く思けるに、此の娘の彼の生贄に差されにけり。此れは、今年の祭の日差されぬれば、其の日より一年の間に養ひ肥してぞ、次の年の祭には立ける。此の娘、差されて後、父母、限り無く歎き悲びけれども、遁るべき様無き事なれば、月日の過に随て、命の促(つづ)まるを、祖子(おやこ)の相見む事の残り少く成行けば、日を計へて互に泣悲むより外の事無し。 |
然る間、東の方より、事の縁有て、其の国に来れる人有けり。此の人、犬山と云ふ事をして、数(あまた)の犬を飼て、山に入て猪・鹿を犬に噉殺さしめて取事を業としける人也。亦、心ろ極て猛き者の、物恐ぢ為ぬにてぞ有ける。其の人、其の国に暫く有ける間、自然ら此の事を聞てけり。 | 然る間、東の方より、事の縁有て、其の国に来れる人有けり。此の人、犬山と云ふ事をして、数(あまた)の犬を飼て、山に入て猪・鹿を犬に噉殺さしめて取事を業としける人也。亦、心ろ極て猛き者の、物恐ぢ為ぬにてぞ有ける。其の人、其の国に暫く有ける間、自然ら此の事を聞てけり。 |
text/k_konjaku/k_konjaku26-7.1418110802.txt.gz · 最終更新: 2014/12/09 16:40 by Satoshi Nakagawa