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text:k_konjaku:k_konjaku24-21 [2014/09/14 01:55] Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku24-21 [2019/12/18 21:57] (現在) – [巻24第21話 僧登照相倒朱雀門語 第廿一] Satoshi Nakagawa
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 ====== 巻24第21話 僧登照相倒朱雀門語 第廿一 ====== ====== 巻24第21話 僧登照相倒朱雀門語 第廿一 ======
  
-今昔、登照と云ふ僧有けり。諸の人の形を見、音を聞き翔(ふるまひ)を知て、命の長短を相し、身の貧富を教へ、官位の高下を知らしむ。此の如く相するに、敢て違ふ事無かりければ、京中の道俗男女、此の登照が房に集る事限り無し。+今昔、登照((登昭・洞照・洞昭とも表記される。))と云ふ僧有けり。諸の人の形を見、音を聞き翔(ふるまひ)を知て、命の長短を相し、身の貧富を教へ、官位の高下を知らしむ。此の如く相するに、敢て違ふ事無かりければ、京中の道俗男女、此の登照が房に集る事限り無し。
  
 而るに登照、物へ行けるに、朱雀門の前を渡けり。其の門の下に男女の老少の人、多く居て休けるを登照見るに、此の門の下に有者共、皆只今死すべき相有り。「此は何なる事ぞ」と思て、立留て吉く見るに、尚其の相現(あらは)也。登照、此れを思ひ廻すに、「只今、此の者共の死なむ事は、何に依てぞ。若し悪人の来て殺さむにても、少々をこそ殺さめ。皆忽に死すべき様無し。怪き態かな」と思ひ廻すに、「若し、此の門の只今倒れなむずるか。然らばぞ打圧(おそ)はれて、忽ち皆死ぬべき」と思ひ得て、門の下に居並たる者共に向て、「其れ見よ。其の門倒れぬるに、打圧はれて皆死なむとす。疾(とく)出よ」と音を高く挙て云ければ、居たる者共、此れを聞て迷(まどひ)て、はらはらと出けり。 而るに登照、物へ行けるに、朱雀門の前を渡けり。其の門の下に男女の老少の人、多く居て休けるを登照見るに、此の門の下に有者共、皆只今死すべき相有り。「此は何なる事ぞ」と思て、立留て吉く見るに、尚其の相現(あらは)也。登照、此れを思ひ廻すに、「只今、此の者共の死なむ事は、何に依てぞ。若し悪人の来て殺さむにても、少々をこそ殺さめ。皆忽に死すべき様無し。怪き態かな」と思ひ廻すに、「若し、此の門の只今倒れなむずるか。然らばぞ打圧(おそ)はれて、忽ち皆死ぬべき」と思ひ得て、門の下に居並たる者共に向て、「其れ見よ。其の門倒れぬるに、打圧はれて皆死なむとす。疾(とく)出よ」と音を高く挙て云ければ、居たる者共、此れを聞て迷(まどひ)て、はらはらと出けり。
text/k_konjaku/k_konjaku24-21.txt · 最終更新: 2019/12/18 21:57 by Satoshi Nakagawa