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text:k_konjaku:k_konjaku24-16 [2014/08/20 19:04] – 作成 Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku24-16 [2019/12/18 18:58] (現在) – [巻24第16話 安倍晴明随忠行習道語 第十六] Satoshi Nakagawa
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 +今昔物語集
 ====== 巻24第16話 安倍晴明随忠行習道語 第十六 ====== ====== 巻24第16話 安倍晴明随忠行習道語 第十六 ======
  
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 其の後、忠行、晴明を去難く思て、此の道を教ふる事、瓶の水を写すが如し。然れば、終に晴明此の道に付て、公私に仕はれて糸止事無かりけり。 其の後、忠行、晴明を去難く思て、此の道を教ふる事、瓶の水を写すが如し。然れば、終に晴明此の道に付て、公私に仕はれて糸止事無かりけり。
  
-而る間、忠行失て後、此の晴明が家は、土御門よりは北、西の洞院よりは東也。其の家に晴明が居たりける時、老たる僧来ぬ。共に十余歳許なる童、二人具したり。晴明、此れを見て、「何ぞの僧の何(いづこ)より来れるぞ」と問へば、僧、「己は播磨国の人に侍り。其れに陰陽の方をなむ習はむ志侍る。而るに、只今此の道に取て止事無く御座す由を承はりて、『少々の事習ひ奉らむ』と思給へて参り候つる也」と云へば、晴明が思はく、「此の法師は、此の道に賢き奴にこそ有ぬれ。其れが我を試むと来たる也。此の奴に弊(わろ)く試されてば口惜かりなむかし。此の法師、少し引き掕ぜむ」と思て、「此の法師の共なる二人の童は識神に仕て来たるなり。若し識神ならば、忽に召し隠せ」と、心の内に念じて、袖の内に二の手を引入れて印を結び、密に呪を読む。+而る間、忠行失て後、此の晴明が家は、土御門よりは北、西の洞院よりは東也。其の家に晴明が居たりける時、老たる僧(([[k_konjaku24-19|24-19]]によると智徳法師。))来ぬ。共に十余歳許なる童、二人具したり。晴明、此れを見て、「何ぞの僧の何(いづこ)より来れるぞ」と問へば、僧、「己は播磨国の人に侍り。其れに陰陽の方をなむ習はむ志侍る。而るに、只今此の道に取て止事無く御座す由を承はりて、『少々の事習ひ奉らむ』と思給へて参り候つる也」と云へば、晴明が思はく、「此の法師は、此の道に賢き奴にこそ有ぬれ。其れが我を試むと来たる也。此の奴に弊(わろ)く試されてば口惜かりなむかし。此の法師、少し引き掕ぜむ」と思て、「此の法師の共なる二人の童は識神に仕て来たるなり。若し識神ならば、忽に召し隠せ」と、心の内に念じて、袖の内に二の手を引入れて印を結び、密に呪を読む。
  
 其の後、晴明、法師に答へて云く、「然か承はりぬ。但し、今日は自ら暇無き事有り。速に返り給て、後に吉日を以て坐せ。習はむと有らむ事共は教へ進(たてまつ)らむ」と。法師、「穴貴」と云て、手を押摺て額に宛て立走て去ぬ。 其の後、晴明、法師に答へて云く、「然か承はりぬ。但し、今日は自ら暇無き事有り。速に返り給て、後に吉日を以て坐せ。習はむと有らむ事共は教へ進(たてまつ)らむ」と。法師、「穴貴」と云て、手を押摺て額に宛て立走て去ぬ。
text/k_konjaku/k_konjaku24-16.1408529092.txt.gz · 最終更新: 2014/08/20 19:04 by Satoshi Nakagawa