text:k_konjaku:k_konjaku23-20
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text:k_konjaku:k_konjaku23-20 [2014/09/14 01:29] – Satoshi Nakagawa | text:k_konjaku:k_konjaku23-20 [2018/02/07 02:39] (現在) – [巻23第20話 広沢寛朝僧正強力語 第(二十)] Satoshi Nakagawa | ||
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====== 巻23第20話 広沢寛朝僧正強力語 第(二十) ====== | ====== 巻23第20話 広沢寛朝僧正強力語 第(二十) ====== | ||
- | 今昔、広沢と云ふ所に寛朝僧正と申人御けり。此の人、凡人に非ず、式部卿の宮と申ける人の御子也。真言の道に止事無かりける人也。 | + | 今昔、広沢と云ふ所に寛朝僧正と申人御けり。此の人、凡人に非ず、式部卿の宮((敦実親王))と申ける人の御子也。真言の道に止事無かりける人也。 |
其の人の広沢に住給けるに、亦仁和寺の別当にても御ければ、「彼の寺の壊たる所を修理せむ」とて、麻柱(あななひ)を結て、日毎に工共数(あまた)来て修理しけるに、日暮て、工共各返て後、僧正、「工の今日の所作は何(い)か許したると見む」と思給て、中結にして、高足駄を履(はき)て、杖を突て、只独り寺の許に歩み出て、麻柱共結たる中に立廻て見給ける程に、黒く装ぞきたる男の、烏帽子を引垂れて、夕暮方なれば、顔は慥に見へずして、僧正の前に出来て突居たり。見れば、刀を抜て逆様に持て、引隠したる様に持成して居たり。 | 其の人の広沢に住給けるに、亦仁和寺の別当にても御ければ、「彼の寺の壊たる所を修理せむ」とて、麻柱(あななひ)を結て、日毎に工共数(あまた)来て修理しけるに、日暮て、工共各返て後、僧正、「工の今日の所作は何(い)か許したると見む」と思給て、中結にして、高足駄を履(はき)て、杖を突て、只独り寺の許に歩み出て、麻柱共結たる中に立廻て見給ける程に、黒く装ぞきたる男の、烏帽子を引垂れて、夕暮方なれば、顔は慥に見へずして、僧正の前に出来て突居たり。見れば、刀を抜て逆様に持て、引隠したる様に持成して居たり。 |
text/k_konjaku/k_konjaku23-20.1410625753.txt.gz · 最終更新: 2014/09/14 01:29 by Satoshi Nakagawa