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text:k_konjaku:k_konjaku17-42

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text:k_konjaku:k_konjaku17-42 [2016/01/20 02:00] – [巻17第42話 於但馬国古寺毘沙門伏牛頭鬼助僧語 第四十二] Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku17-42 [2016/01/20 02:22] (現在) – [巻17第42話 於但馬国古寺毘沙門伏牛頭鬼助僧語 第四十二] Satoshi Nakagawa
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 而る間、鬼、仏壇の前へに倒れぬと聞く。其の後、音も為ずして止ぬ。僧の思はく、「此れは、鬼の、『我が有り所を伺ひ知らむ』と思て、音を為ずして聞くなめり」と思へば、弥よ息音を立てずして、只、仏の御腰を抱き奉て、法花経を念じ奉て、夜の曙るを待つ程に、多の年を過すと思ゆ。 而る間、鬼、仏壇の前へに倒れぬと聞く。其の後、音も為ずして止ぬ。僧の思はく、「此れは、鬼の、『我が有り所を伺ひ知らむ』と思て、音を為ずして聞くなめり」と思へば、弥よ息音を立てずして、只、仏の御腰を抱き奉て、法花経を念じ奉て、夜の曙るを待つ程に、多の年を過すと思ゆ。
  
-更に物思えず、辛くして夜曙ぬれば、先づ我が抱き奉る仏を見れば、((底本、下文欠。以下、鈴鹿本により補う。))毘沙門天にて在ます。仏壇の前を見れば、牛の頭なる鬼を、三段に切殺して置たり。毘沙門天の持給へる桙の崎に、赤き血付たり。然ば、僧、「我を助けむが為めに、毘沙門天の差し殺し給へる也けり」と思ふに、貴く悲き事限無し。現はに知ぬ、此れ法花の持者を加護し給ふ故也けり。「令百由旬内、無諸衰患」の御誓違はず。+更に物思えず、辛くして夜曙ぬれば、先づ我が抱き奉る仏を見れば、((底本、下文欠。以下、[[http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/konjaku2/frame2/kj17/kj17ft51.html|鈴鹿本]]により補う。))毘沙門天にて在ます。仏壇の前を見れば、牛の頭なる鬼を、三段に切殺して置たり。毘沙門天の持給へる桙の崎に、赤き血付たり。然ば、僧、「我を助けむが為めに、毘沙門天の差し殺し給へる也けり」と思ふに、貴く悲き事限無し。現はに知ぬ、此れ法花の持者を加護し給ふ故也けり。「令百由旬内、無諸衰患」の御誓違はず。
  
 其の後、僧、人郷に走り出て、此の事を人に告ぐれば、聞く人集行て見れば、実に僧の云ふが如し。「此れ希有の事也」と、口々に云喤る事限無し。僧は泣々く毘沙門天を礼拝して、其所を過ぬ。 其の後、僧、人郷に走り出て、此の事を人に告ぐれば、聞く人集行て見れば、実に僧の云ふが如し。「此れ希有の事也」と、口々に云喤る事限無し。僧は泣々く毘沙門天を礼拝して、其所を過ぬ。
text/k_konjaku/k_konjaku17-42.1453222800.txt.gz · 最終更新: 2016/01/20 02:00 by Satoshi Nakagawa