text:k_konjaku:k_konjaku13-30
差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
text:k_konjaku:k_konjaku13-30 [2015/08/13 19:31] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:k_konjaku:k_konjaku13-30 [2019/06/29 16:46] (現在) – [巻13第30話 比叡山僧広清髑髏誦法花語 第三十] Satoshi Nakagawa | ||
---|---|---|---|
行 2: | 行 2: | ||
====== 巻13第30話 比叡山僧広清髑髏誦法花語 第三十 ====== | ====== 巻13第30話 比叡山僧広清髑髏誦法花語 第三十 ====== | ||
- | 今昔、比叡の山の東塔に、千手院と云ふ所有り。広清と云ふ僧住す。幼にして山に登て、師に随て出家して、法花経を受け習て、其の義理を悟て、常に読誦す。亦、道心有て、常に後世を恐るる心有り。事の縁に引かれて、世路に廻ると云へども、只隠居を好む心のみ有り。日夜に法花経を誦して、「願くは、此の善根を以て菩提に回向す」と。 | + | 今昔、比叡の山の東塔に、千手院と云ふ所有り。広清と云ふ僧住す。幼にして山に登て、師に随て出家して、法花経を受け習て、其の義理を悟て、常に読誦す。亦、道心有て、常に後世を恐るる心有り。事の縁に引かれて、世路に廻ると云へども、只隠居を好む心のみ有り。日夜に法花経を誦して、「願くは、此の善根を以て菩提に廻向す」と。 |
而る間、中堂に参て、終夜法花経を誦して、後世の事を祈請する間に寝入ぬ。夢に八の菩薩を見る。皆、黄金の姿也。瓔珞荘厳を見るに、心の及ぶ所に非ず。広清、此れを見て、恐れ貴むで礼拝せむと為るに、一の菩薩在まして、微妙の音を以て、広清に告て宣はく、「汝、法花経を持(たもち)て、此の善根を以て、生死を離れて菩薩に至らむと願ふ。疑ひを成す事無くして、弥よ退かずして、法花経を持つべし。然らば、我等八人来て、汝を極楽世界に送るべし」と宣て後、忽ちに見え給はず見て、夢覚ぬ。 | 而る間、中堂に参て、終夜法花経を誦して、後世の事を祈請する間に寝入ぬ。夢に八の菩薩を見る。皆、黄金の姿也。瓔珞荘厳を見るに、心の及ぶ所に非ず。広清、此れを見て、恐れ貴むで礼拝せむと為るに、一の菩薩在まして、微妙の音を以て、広清に告て宣はく、「汝、法花経を持(たもち)て、此の善根を以て、生死を離れて菩薩に至らむと願ふ。疑ひを成す事無くして、弥よ退かずして、法花経を持つべし。然らば、我等八人来て、汝を極楽世界に送るべし」と宣て後、忽ちに見え給はず見て、夢覚ぬ。 |
text/k_konjaku/k_konjaku13-30.1439461885.txt.gz · 最終更新: 2015/08/13 19:31 by Satoshi Nakagawa