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text:k_konjaku:k_konjaku10-6

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text:k_konjaku:k_konjaku10-6 [2017/03/14 14:16]
Satoshi Nakagawa 作成
text:k_konjaku:k_konjaku10-6 [2017/03/14 14:16] (現在)
Satoshi Nakagawa [巻10第6話 唐玄宗后上陽人空老語 第六]
ライン 6: ライン 6:
 而る間、或る公卿の娘ども、並無く、形ち美麗に、有様微妙(いみじ)き有けるを、天皇、聞給て、懃(ねんごろ)に召す。父母、否(え)惜しまずして、娘の年、□□□□奉てけり。其の参りの有様、厳き事限無し。其の国の習として、女御に参ぬる人は、亦、罷り出る事無かりける。父母、別る事を歎き悲びけり。 而る間、或る公卿の娘ども、並無く、形ち美麗に、有様微妙(いみじ)き有けるを、天皇、聞給て、懃(ねんごろ)に召す。父母、否(え)惜しまずして、娘の年、□□□□奉てけり。其の参りの有様、厳き事限無し。其の国の習として、女御に参ぬる人は、亦、罷り出る事無かりける。父母、別る事を歎き悲びけり。
  
-然(さ)て、其の女御は、天皇の御ます同内にも非ず、離れて別なる所にぞ候ひ給ける。其の所の名をば、「上陽宮」とぞ云ける。其に、何なる事か有けむ、其の女御、参給けるより後、天皇、召す事も無く、御使だに通はざりければ、只、つくづく(((底本頭注「ツクヅク一本ツラツラニ作ル」))と宮の内に長め居給へりけるに、暫は、「今や、今や」と思ひ給けるに、年月、只過に過て、微妙かりし形も漸く衰へ、美麗也し有様も悉く替にけり。家の人は、参り給ひし当初(はじめ)には、「我が君、内に参り給なば、我等は必ず恩を蒙るべき者也」と思けるに、本意無く思ける事限無し。+然(さ)て、其の女御は、天皇の御ます同内にも非ず、離れて別なる所にぞ候ひ給ける。其の所の名をば、「上陽宮」とぞ云ける。其に、何なる事か有けむ、其の女御、参給けるより後、天皇、召す事も無く、御使だに通はざりければ、只、つくづく((底本頭注「ツクヅク一本ツラツラニ作ル」))と宮の内に長め居給へりけるに、暫は、「今や、今や」と思ひ給けるに、年月、只過に過て、微妙かりし形も漸く衰へ、美麗也し有様も悉く替にけり。家の人は、参り給ひし当初(はじめ)には、「我が君、内に参り給なば、我等は必ず恩を蒙るべき者也」と思けるに、本意無く思ける事限無し。
  
 此の天皇の召し人は、「何が」とだに思し出でぬ事は、他の女御達の、此の女御の形の美麗並び無ければ、劣るべきに依て、謀を成して、押籠たりけるにや。亦、国、広くして、政、滋ければ、天皇も思ひ忘にけるを、驚かし奏する人の無かりけるにや。世の人、極(いみじ)く怪び思けり。 此の天皇の召し人は、「何が」とだに思し出でぬ事は、他の女御達の、此の女御の形の美麗並び無ければ、劣るべきに依て、謀を成して、押籠たりけるにや。亦、国、広くして、政、滋ければ、天皇も思ひ忘にけるを、驚かし奏する人の無かりけるにや。世の人、極(いみじ)く怪び思けり。


text/k_konjaku/k_konjaku10-6.txt · 最終更新: 2017/03/14 14:16 by Satoshi Nakagawa