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text:k_konjaku:k_konjaku10-1 [2017/03/08 13:15] – 作成 Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku10-1 [2017/03/08 13:32] (現在) – [巻10第1話 秦始皇在咸陽宮政世語 第一] Satoshi Nakagawa
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 今昔、震旦の秦の世に、始皇と云ふ国王((始皇帝))在けり。智(さと)り賢く、心武くして、世を政(まつりごち)ければ、国の内に随はぬ者無し。少しも我が心に違ふ者有らば、其の頸を取り、足手を切る。然れば、皆人、風に靡く草の如き也。 今昔、震旦の秦の世に、始皇と云ふ国王((始皇帝))在けり。智(さと)り賢く、心武くして、世を政(まつりごち)ければ、国の内に随はぬ者無し。少しも我が心に違ふ者有らば、其の頸を取り、足手を切る。然れば、皆人、風に靡く草の如き也。
  
-始めて咸陽宮と云ふ宮を造て、都城とす。其の宮の東に関有り。函谷関と云ふ。櫃の迫(はざま)の如くなるに依て、函谷関と云ふ也。亦、王城の北には、高き山を築(つき)たり。此れ、胡国と震旦の間に築き隔たる山也。胡国の人の来べき道を防べき故也。震旦の方は、常の山の如く也。人、登て遊ぶ。遥に山の頂に登て、胡国の方を見るに、隠るる所無し。胡国の方は、高く直くして、壁を塗たる如し。人、登るに能はず。山の東西の間、千里也。高き事、雲と等し。然れば、鴈の渡る時、此の山の高きに依て、飛超えずして、山の中に鴈の通る許穴を開たるより通る也。鴈、其の習を以て、虚空なれども一節にして飛ぶ也。+始めて咸陽宮と云ふ宮を造て、都城とす。其の宮の東に関有り。函谷関と云ふ。櫃の迫(はざま)の如くなるに依て、函谷関と云ふ也。 
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 +亦、王城の北には、高き山を築(つき)たり。此れ、胡国と震旦の間に築き隔たる山也。胡国の人の来べき道を防べき故也。震旦の方は、常の山の如く也。人、登て遊ぶ。遥に山の頂に登て、胡国の方を見るに、隠るる所無し。胡国の方は、高く直くして、壁を塗たる如し。人、登るに能はず。山の東西の間、千里也。高き事、雲と等し。然れば、鴈の渡る時、此の山の高きに依て、飛超えずして、山の中に鴈の通る許穴を開たるより通る也。鴈、其の習を以て、虚空なれども一節にして飛ぶ也。
  
 此の□□□胡国を□□□□□政て云く、「我が子孫、相ひ継て、此の国を治□□□□□知るべからず」と。「亦、前の代々に有る事を皆止め棄てて、我れ始めて政を改む。亦、代々の書籍をば、皆取り集めて、焼き失ひて、我れ始めて書籍を作て、世に留め置むとす。然れば、孔子の弟子等有て、其の中に止事無き書籍をば、窃に取り隠して、壁の中に塗り籠めてぞ留め置きける。 此の□□□胡国を□□□□□政て云く、「我が子孫、相ひ継て、此の国を治□□□□□知るべからず」と。「亦、前の代々に有る事を皆止め棄てて、我れ始めて政を改む。亦、代々の書籍をば、皆取り集めて、焼き失ひて、我れ始めて書籍を作て、世に留め置むとす。然れば、孔子の弟子等有て、其の中に止事無き書籍をば、窃に取り隠して、壁の中に塗り籠めてぞ留め置きける。
text/k_konjaku/k_konjaku10-1.txt · 最終更新: 2017/03/08 13:32 by Satoshi Nakagawa