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text:k_konjaku:k_konjaku1-6 [2016/04/06 14:40] – 作成 Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku1-6 [2020/01/26 22:04] (現在) – [巻1第6話 天魔擬妨菩薩成道語 第六] Satoshi Nakagawa
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 其の時に、帝釈、化して人と成て、清く軟かなる草を取て来れり。菩薩、問て宣はく、「汝をば誰とか云ふ」と。答て云く、「吉祥と名づく」。菩薩、喜て宣はく、「我れ、不吉祥を破して吉祥と成ぬ。又、汝が手に持たる草は得べきや否や」と。爰に吉祥、草を菩薩に授け奉て、願を発して云く、「菩薩道を成給はむ時、先づ我を度し給へ」と。菩薩、草を受取て、座として、其の上に結跏趺坐し給ふ事、過去の諸仏の如し。自誓て宣はく、「我れ、正覚成ぜずば、永く此の座を立たじ」と。其の時に、天竜八部、皆歓喜し、虚空の諸天、讃め奉る事限無し。 其の時に、帝釈、化して人と成て、清く軟かなる草を取て来れり。菩薩、問て宣はく、「汝をば誰とか云ふ」と。答て云く、「吉祥と名づく」。菩薩、喜て宣はく、「我れ、不吉祥を破して吉祥と成ぬ。又、汝が手に持たる草は得べきや否や」と。爰に吉祥、草を菩薩に授け奉て、願を発して云く、「菩薩道を成給はむ時、先づ我を度し給へ」と。菩薩、草を受取て、座として、其の上に結跏趺坐し給ふ事、過去の諸仏の如し。自誓て宣はく、「我れ、正覚成ぜずば、永く此の座を立たじ」と。其の時に、天竜八部、皆歓喜し、虚空の諸天、讃め奉る事限無し。
  
-其の時に、第六天の魔((底本頭注「魔一本魔王ニ作ル」))の宮殿、自然ら振ひ動く。魔王の思ふ様、「沙門瞿曇((釈迦))、樹下に在して五欲を捨て、端坐思惟して正覚を為すべし。若し、其れ道を成じて、広く一切を度せば、我が境界に超て増(まさり)なむとす。我れ、彼が未だ道を成さぬ前に行て、壊り乱らむ」と。+其の時に、第六天の魔((底本頭注「魔一本魔王ニ作ル」))の宮殿、自然ら振ひ動く。魔王の思ふ様、「沙門瞿曇((釈迦))、樹下に在して五欲を捨て、端坐思惟して正覚を成ずべし。若し、其れ道を成じて、広く一切を度せば、我が境界に超て増(まさり)なむとす。我れ、彼が未だ道を成さぬ前に行て、壊り乱らむ」と。
  
 魔王の子有り。名をば薩陀と云ふ。父の、此の事を歎き憂へる形を見て、父に云く、「何の故に歎き憂へ給へるぞ」と。魔王の云く、「沙門瞿曇、今樹下に坐して、道を成じて、我れを超て増なむとす。我れ、彼を破り乱らむと思ふ」と。魔の子、父を呵嘖して云く、「菩薩は清浄にして比ふ者無し。天竜八部、悉く守護す。神通・智恵、明かならずと云ふ事無し。妨げ給べき事にも非ず。何ぞ、悪を作り咎を招かむ」と。 魔王の子有り。名をば薩陀と云ふ。父の、此の事を歎き憂へる形を見て、父に云く、「何の故に歎き憂へ給へるぞ」と。魔王の云く、「沙門瞿曇、今樹下に坐して、道を成じて、我れを超て増なむとす。我れ、彼を破り乱らむと思ふ」と。魔の子、父を呵嘖して云く、「菩薩は清浄にして比ふ者無し。天竜八部、悉く守護す。神通・智恵、明かならずと云ふ事無し。妨げ給べき事にも非ず。何ぞ、悪を作り咎を招かむ」と。
text/k_konjaku/k_konjaku1-6.txt · 最終更新: 2020/01/26 22:04 by Satoshi Nakagawa