text:jikkinsho:s_jikkinsho10-10

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--- text:jikkinsho:s_jikkinsho10-10 [2016/03/09 16:07] – 作成 Satoshi Nakagawa
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-  九能因入道伊与守実綱にともなひて、彼国に下たりけるに、
+  九能因入道伊与守実綱ニトモナヒテ、彼国ニ下タリケルニ、
-    夏初日久くてりて、民の歎浅からさりけるに、神は和哥にめ
+    夏初日久クテリテ、民ノ歎浅カラサリケルニ、神ハ和哥ニメ
-    て給物なり、試に読て三島に奉るへきよしを国司頻にす
+    テ給物ナリ、試ニ読テ三島ニ奉ルヘキヨシヲ国司頻ニス
-    すめけれは、
+    スメケレハ、
-      あまのかはなはしろ水にせきくたせ、あまくたります神ならは神
+      アマノカハナハシロ水ニセキクタセ、アマクタリマス神ナラハ神
-    と読るを、みてくらに書て、社司さして申上させたりけれ／k45
+    ト読ルヲ、ミテクラニ書テ、社司サシテ申上サセタリケレ／k45
-    は、炎旱の天俄にくもりわたりて、大なる雨ふりて、枯たる
+    ハ、炎旱ノ天俄ニクモリワタリテ、大ナル雨フリテ、枯タル
-    いなは、をしなへて緑にかへりにけり、忽に天災をやはらく
+    イナハ、ヲシナヘテ緑ニカヘリニケリ、忽ニ天災ヲヤハラク
-    る事、唐の貞観の太宗の蝗をのめりし政にも、をとらさ
+    ル事、唐ノ貞観ノ太宗ノ蝗ヲノメリシ政ニモ、ヲトラサ
-    りけり、能因は、いたれるすきものなり、
+    リケリ、能因ハ、イタレルスキモノナリ、
-      都をは霞とともにたちしかと、秋風そふく白川のせき
+      都ヲハ霞トトモニタチシカト、秋風ソフク白川ノセキ
-    とよめりけるを、都にありなから此哥を出さん事無念
+    トヨメリケルヲ、都ニアリナカラ此哥ヲ出サン事無念
-    と思て、人にもしられす久くこもりゐて、色をくろく日
+    ト思テ、人ニモシラレス久クコモリヰテ、色ヲクロク日
-    にあふりなして後みちのくの方へ修行の次に読たり
+    ニアフリナシテ後ミチノクノ方ヘ修行ノ次ニ読タリ
-    とそ披露しける、／k46
+    トソ披露シケル、／k46

text/jikkinsho/s_jikkinsho10-10.txt · 最終更新: 2016/03/09 16:08 by Satoshi Nakagawa