text:jikkinsho:s_jikkinsho08-05
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— | text:jikkinsho:s_jikkinsho08-05 [2016/02/21 22:14] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa | ||
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+ | 十訓抄 第八 諸事を堪忍すべき事 | ||
+ | ====== 8の5 斎宮の女御長岡といふところに住み給ひて・・・ ====== | ||
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+ | ===== 校訂本文 ===== | ||
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+ | 斎宮の女御((徽子女王))、長岡といふところに住み給ひて、久しく参らせ給はざりけるころ、ことのついでありて、内((村上天皇))より、 | ||
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+ | 時しもあれいなばの風に波寄れる期(ご)にさへ人のうらむべしやは | ||
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+ | 御返事、 | ||
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+ | いかでかはいなばもそよといはざらむ、秋のみやこのほかに住む身は | ||
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+ | これは、わが身、后(きさき)にあらねば、もの妬みもなどかせざらんの心地にや。后をば秋宮と申す。また、稲葉(いなば)をいなごといふ虫に思ひ寄せられたり。上に申したる本文(([[s-jikkinsho08-04|前話]]に引いた毛詩の本文。))の心なり。 | ||
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+ | この歌をば、「后を望ませ給ふ気色あり」と、世の人、申しければ、わけて、かの御集には除かれにけるとぞ。 | ||
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+ | これらは、まことのもの妬みにはあらず。あらましの御色なりけり。 | ||
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+ | ===== 翻刻 ===== | ||
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+ | 五斎宮ノ女御長岡ト云所ニ住給テ、久クマイラセ給ハサリ | ||
+ | ケル比、事ノ次アリテ、内ヨリ、 | ||
+ | トキシモアレイナハノ風ニナミヨレル、期ニサヘ人ノウラムヘシヤハ、 | ||
+ | 御返事 | ||
+ | イカテカハイナハモソヨトイハサラム、秋ノミヤコノホカニスム身ハ、 | ||
+ | 是ハ我身后ニアラネハ、物ネタミモナトカセサランノ心地 | ||
+ | ニヤ、后ヲハ秋宮ト申、亦イナハヲイナコト云虫ニ思ヨ | ||
+ | セラレタリ、上ニ申タル本文ノ心也、此哥ヲハ后ヲノソ | ||
+ | マセ給気色アリト世人申ケレハ、ワケテ彼御集ニハノ | ||
+ | ソカレニケルトソ、此等ハ実ノ物ネタミニハアラス、アラマ/k11 | ||
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+ | シノ御色ナリケリ、/k12 | ||
text/jikkinsho/s_jikkinsho08-05.txt · 最終更新: 2016/02/21 22:14 by Satoshi Nakagawa