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text:jikkinsho:s_jikkinsho06-06

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text:jikkinsho:s_jikkinsho06-06 [2015/12/24 22:08] – 作成 Satoshi Nakagawatext:jikkinsho:s_jikkinsho06-06 [2015/12/26 13:07] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 唐土(もろこし)に衛の懿公と申しける王、心つたなくおはしまして、賢き臣下をば賞し給はで、鶴をのみ愛して、御幸(みゆき)のをりは同じ輿に乗せて、幸し給ひけるに、夷(えびす)の来て国を亡ぼす時、「鶴、君の怨を退くべし」と言ひて、防ぐ人なかりければ、夷、懿公を殺してみな食ひて((底本「みなく亡て」。諸本「みなくらひて」。亡をヒの誤写とみて訂正。))、その肝ばかりを土の上に残して帰りにければ、懿公の臣、弘演といふ人、大に恥ぢ、おのれが腹を裂きて、君の肝を入れて死す。「主、恥ある時は、臣、死す」とぞ、世の人言ひける。「少人にして高位を踏むことを嫌ふ。鶴、軒に乗ることあり」とは、この心を書けるにや。 唐土(もろこし)に衛の懿公と申しける王、心つたなくおはしまして、賢き臣下をば賞し給はで、鶴をのみ愛して、御幸(みゆき)のをりは同じ輿に乗せて、幸し給ひけるに、夷(えびす)の来て国を亡ぼす時、「鶴、君の怨を退くべし」と言ひて、防ぐ人なかりければ、夷、懿公を殺してみな食ひて((底本「みなく亡て」。諸本「みなくらひて」。亡をヒの誤写とみて訂正。))、その肝ばかりを土の上に残して帰りにければ、懿公の臣、弘演といふ人、大に恥ぢ、おのれが腹を裂きて、君の肝を入れて死す。「主、恥ある時は、臣、死す」とぞ、世の人言ひける。「少人にして高位を踏むことを嫌ふ。鶴、軒に乗ることあり」とは、この心を書けるにや。
  
-かれは、まことにさることはりもありぬべし。これは、まさしき皇子を位つき給ひて、させる恨みもなきに、それにも仕へ奉らで、剰(あまつさ)へ思ひ切りて、たちまちに命までを捨てけんこと、そのたぐひありがたく、まれなり。+かれは、まことにさることはりもありぬべし。これは、まさしき皇子を位つき給ひて、させる恨みもなきに、それにも仕へ奉らで、あまつさへ思ひ切りて、たちまちに命までを捨てけんこと、そのたぐひありがたく、まれなり。
  
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text/jikkinsho/s_jikkinsho06-06.txt · 最終更新: 2015/12/26 13:07 by Satoshi Nakagawa