text:jikkinsho:s_jikkinsho06-01
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— | text:jikkinsho:s_jikkinsho06-01 [2015/12/17 22:06] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa | ||
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+ | 十訓抄 第六 忠直を存ずべき事 | ||
+ | ====== 6の1 楚の襄王晋の国を討たんとす孫叔敖これをいさめ申していはく・・・ ====== | ||
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+ | ===== 校訂本文 ===== | ||
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+ | 楚の襄王、晋の国を討たんとす。孫叔敖、これをいさめ申していはく、「園の楡(にれ)の上に、蝉、露を飲まむとす。後ろに蟷螂の犯さんとするを知らず。蟷螂、また蝉をのみまもりて、後ろに黄雀の犯さんとするを知らず。黄雀、また蟷螂をのみまもりて、楡のもとに弓を引きて童子の犯さんとするを知らず。童子、また黄雀をのみまもりて、前に深き谷、しりへに掘株のあることを知らずして、身をあやまてり。これみな、前利をのみ思ひて、後害をかへりみざるゆゑなり」と申せり。王、この時、悟りを開きて、晋を攻むといふこと、とどまり給ひぬ。 | ||
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+ | ただし、周の文王、殷の紂((紂王))を討たんが為に、義兵を挙げて、かの国へ向ひ給ふ時、孤竹の二子((伯夷・叔斉のこと))、三つの理を立てていさめをなすといへども、呂望((呂尚。太公望とも。))がはからひにつきて、とどまり給はざりき。 | ||
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+ | これは、紂の心、おごれるによりて、国、これを背くあひだ、天授人与の時なれば、後害の限りにあらざさるなり。 | ||
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+ | ===== 翻刻 ===== | ||
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+ | 一楚ノ襄王晋ノ国ヲウタントス、孫叔敖是ヲ | ||
+ | 諫申云、園ノ楡ノ上ニ蝉露ヲ飲トス、後シロニ蟷螂 | ||
+ | ノヲカサントスルヲ不知、蟷螂又蝉ヲノミ守テ、 | ||
+ | 後ニ黄雀ノ犯トスルヲ不知、黄雀又蟷螂ヲノ | ||
+ | ミ守テ、楡ノ本ニ弓ヲ引テ童子ノ犯トスル | ||
+ | ヲ不知、童子又黄雀ヲノミ守テ、前ニ深谷 | ||
+ | 後ヘニ掘株ノアル事ヲ不知シテ、身ヲアヤ | ||
+ | マテリ、此皆前利ヲノミ思テ、後害ヲ不/k32 | ||
+ | |||
+ | 顧故也ト申セリ、王此時サトリヲ開テ、晋ヲ | ||
+ | 責ト云事留給ヌ、但周ノ文王殷ノ紂ヲ打 | ||
+ | ンカ為ニ義兵ヲアケテ、彼国ヘ向給時孤竹 | ||
+ | ノ二子三ノ理ヲ立テ諫ヲナストイヘトモ、呂望カ | ||
+ | ハカラヒニ付テトトマリ玉ハサリキ、コレハ紂ノ心 | ||
+ | オコレルニヨリテ、国コレヲソムク間、天授人与ノ | ||
+ | 時ナレハ、後害ノ限ニアラサル也、/k33 | ||
text/jikkinsho/s_jikkinsho06-01.txt · 最終更新: 2015/12/17 22:06 by Satoshi Nakagawa