ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:jikkinsho:s_jikkinsho04-06

差分

この文書の現在のバージョンと選択したバージョンの差分を表示します。

この比較画面にリンクする

text:jikkinsho:s_jikkinsho04-06 [2015/11/06 21:49] (現在)
Satoshi Nakagawa 作成
ライン 1: ライン 1:
 +十訓抄 第四 人の上を誡むべき事
 +====== 4の6 中納言通俊の子に世尊寺阿闍梨仁俊とて顕密知法にて・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +中納言通俊((藤原通俊))の子に、世尊寺阿闍梨仁俊とて、顕密知法にて、貴き人おはしけるを、鳥羽院に候ひける女房、「仁俊は女心ある者の、空聖立つる」と申しけるを、かへり聞きて、「くちをし」と思ひければ、北野((北野天満宮))に参籠して、「このの恥をすすぎ給へ」と祈請して、
 +
 +  あはれとも神々ならば思ふらん人こそ人の道は断つとも
 +
 +と詠みければ、その女房、赤袴ばかりを腰に巻きて、手に錫杖を持ちて、「仁俊に虚言(そらごと)言ひ付けたる報ひよ」と言ひて、院の御所に参りて、舞ひ狂ひけり。
 +
 +「あさまし」と思しめして、北野より仁俊を召して、見せられければ、神恩のあらたなるを感じて、涙を流して、一たび慈救呪を満て給ひければ、女房、本心になりにけり。
 +
 +いみじく思しめして、薄墨(うすずみ)といふ御馬ぞ賜(た)びたりける。
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  中納言通俊子ニ世尊寺阿闍梨仁俊トテ、顕蜜知
 +  法ニテ貴キ人オハシケルヲ、鳥羽院ニ候ケル女房仁俊
 +  ハ女心アル者ノ空聖立ルト申ケルヲ、カヘリ聞テ、口
 +  惜ト思ケレハ、北野ニ参籠シテ、此ノ恥ヲススキ給ヘト
 +  祈請シテ、/k156
 +
 +    アハレトモ神々ナラハ思フラン、人コソ人ノミチハタツトモ
 +  トヨミケレハ、其女房赤袴ハカリヲ腰ニ巻テ、手ニ錫
 +  杖ヲ持テ、仁俊ニ空事云付タル報ヒヨト云テ、院御
 +  所ニ参テ舞クルヒケリ、浅マシト思召シテ、北野ヨリ仁
 +  俊ヲ召テ見セラレケレハ、神恩ノアラタナルヲ感シテ
 +  涙ヲ流シテ、一タヒ慈救呪ヲ満給ケレハ、女房本心ニ
 +  成ニケリ、イミシク思召テ、ウススミト云御馬ソタヒタ
 +  リケル、/k157
  


text/jikkinsho/s_jikkinsho04-06.txt · 最終更新: 2015/11/06 21:49 by Satoshi Nakagawa