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今物語

第45話 鳥羽院の御時花の盛りに法勝寺へ御幸ならむとしけるに・・・

校訂本文

鳥羽院の御時、花の盛りに、法勝寺へ御幸ならむとしけるに、執行なりける人、見てとく参りけるに、庭の上に、所もなく花散りしきたりけるを、「あさましきことなり。ただ今御幸のならむずるに、今まで庭を掃かせざりける」と叱り、腹立ちて、公文の従儀師を召して、「今まで、いかに掃除をばせざりけるぞ。不思議なり」と言ひければ、突い膝まづきて、

  散るも憂し散りしく庭も掃かま憂し花に物思ふ春の主殿(とのもり)1)

と申して、「こや、御房が掃き侍らぬに」など言ひければ、「ははがつび」といひて、なお叱りけり。

翻刻

鳥羽院の御時花のさかりに法勝寺へ御幸ならむとしけるに
執行なりける人みてとくまいりけるに庭のうへに所もなく
花ちりしきたりけるをあさましき事也ただ今御幸
のならむするにいままて庭をはかせさりけるとしかりは
らたちて公文の従儀師をめしていままていかにさう
ちをはせさりけるそふしきなりといひけれはついひさま
つきて
  ちるもうし散しく庭もはかまうし花に物おもふ春のこのもり
と申てこや御房かはき侍らぬになといひけれはははかつひと
いひて猶しかりけり/s27l
1)
底本「このもり」。諸本によって訂正
text/ima/s_ima045.txt · 最終更新: 2014/12/29 15:53 by Satoshi Nakagawa
CC Attribution-Share Alike 4.0 International
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