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text:hosshinju:h_hosshinju8-10 [2017/08/14 18:41] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:hosshinju:h_hosshinju8-10 [2017/08/14 18:41] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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やや久しくありて、寝覚めたるに、傍(かたは)らに女あり。寝ほれたる心に、もの詣でといふこと、ふつと忘れぬ。わが家にあるやうに思えて、何とも思ひ分かず、この妻を犯しつ。 | やや久しくありて、寝覚めたるに、傍(かたは)らに女あり。寝ほれたる心に、もの詣でといふこと、ふつと忘れぬ。わが家にあるやうに思えて、何とも思ひ分かず、この妻を犯しつ。 | ||
- | やうやう目覚めゆくほどに、思ひ出づれば、金剛蔵王の御前なりけり。ともかくも、いふはかりなし。「家にありて精進なんどはじめたるほどだに、いささかも怠ることあれば、時を過ごさず、恐しきことのみあるに、かばかりの誤りをしつ。ただ今、罸を蒙らんこと、疑ひなし。こはいかがすべき」と、妻男驚き悲しぶ。 | + | やうやう目覚めゆくほどに、思ひ出づれば、金剛蔵王の御前なりけり。ともかくも、いふはかりなし。「家にありて精進なんどはじめたるほどだに、いささかも怠ることあれば、時を過ごさず、恐しきことのみあるに、かばかりの誤りをしつ。ただ今、罸を蒙らんこと、疑ひなし。こはいかがすべき」と、妻男、驚き悲しぶ。 |
まづ、御前を出でて、河のほとりに二人行きて、よくよく水を浴みて、言ひ悲しみつつ、泣く泣くおこたり申して出でにけり。 | まづ、御前を出でて、河のほとりに二人行きて、よくよく水を浴みて、言ひ悲しみつつ、泣く泣くおこたり申して出でにけり。 |
text/hosshinju/h_hosshinju8-10.txt · 最終更新: 2017/08/14 18:41 by Satoshi Nakagawa