text:hosshinju:h_hosshinju5-02
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text:hosshinju:h_hosshinju5-02 [2017/05/30 20:56] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | text:hosshinju:h_hosshinju5-02 [2017/05/30 20:57] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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この男の心、いかばかりなりけむ。男とは、なにがしの弁とかや聞きしかど、名は忘れにけ | この男の心、いかばかりなりけむ。男とは、なにがしの弁とかや聞きしかど、名は忘れにけ | ||
- | り((標題では伊家(藤原伊家)。なお、[[: | + | り((標題では伊家(藤原伊家)。なお、[[:text: |
- | 人を恋ひては、あるいは望夫石と名をとどめ(([[: | + | 人を恋ひては、あるいは望夫石と名をとどめ(([[:text: |
- | あはれ、これをためしにて、この世にも物思ふ人の往生を願ふことにて侍らば、いかに心かしこからん。たとひ、同じ心なる中とても、幾世かはある。楊貴妃はむなしく比翼の契りを残し(([[: | + | あはれ、これをためしにて、この世にも物思ふ人の往生を願ふことにて侍らば、いかに心かしこからん。たとひ、同じ心なる中とても、幾世かはある。楊貴妃はむなしく比翼の契りを残し(([[:text: |
- | の嶺(ね)を引きかけ、海士の袖とかこちて、ねんごろに心の底をあらはせど、何のかひかはある。一人胸をこがし、袖をしぼるほどは、いみじくあぢきなくなむ侍り。いかにいはんや、この世一つにてやむべきことにてもあらず。その報ひむなしからねば、来世にはまた、人の心をつ尽さすべし。 | + | |
かくのごとく、世々生々、互ひにきはまりなくして、生死のきづなとならんことの、いと罪深く侍るなり。このたび、思ひ切りて、極楽に生れなば、憂きもつらきも寝ぬる夜の夢に異らじ。立ち帰り、善知識と悟りて、かれを導かんことこそ、あらまほしく侍れ。もし、浄土にて、なほ尽きがたきほどの恨みならば、その時言ひ向へをもせよかし。 | かくのごとく、世々生々、互ひにきはまりなくして、生死のきづなとならんことの、いと罪深く侍るなり。このたび、思ひ切りて、極楽に生れなば、憂きもつらきも寝ぬる夜の夢に異らじ。立ち帰り、善知識と悟りて、かれを導かんことこそ、あらまほしく侍れ。もし、浄土にて、なほ尽きがたきほどの恨みならば、その時言ひ向へをもせよかし。 |
text/hosshinju/h_hosshinju5-02.txt · 最終更新: 2017/05/30 20:57 by Satoshi Nakagawa