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text:hosshinju:h_hosshinju3-01 [2017/04/29 16:22] – 作成 Satoshi Nakagawatext:hosshinju:h_hosshinju3-01 [2017/04/29 16:50] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
行 6: 行 6:
 中ごろ、近江国に乞食しありく翁ありけり。立ちても、居ても、見る事、聞く事につけて、「まして」とのみ言ひければ、国の者、「ましての翁」とぞ名付けける。させる徳もなけれども、年ごろへつらい歩(あり)きければ、人も皆知りて、見ゆるにしたがひて、あはれみけり。 中ごろ、近江国に乞食しありく翁ありけり。立ちても、居ても、見る事、聞く事につけて、「まして」とのみ言ひければ、国の者、「ましての翁」とぞ名付けける。させる徳もなけれども、年ごろへつらい歩(あり)きければ、人も皆知りて、見ゆるにしたがひて、あはれみけり。
  
-その時、大和国にある聖の夢に、この翁、必ず往生すべき由(よし)見たりければ、結縁(けつえん)のために尋ね来たりて、すなはち、翁が草のに宿りにけり。かくて、「夜なんど、いかなる行(ぎやう)をかするらん」とて聞けども、さらに勤むることなし。+その時、大和国にある聖の夢に、この翁、必ず往生すべき由(よし)見たりければ、結縁(けつえん)のために尋ね来たりて、すなはち、翁が草のに宿りにけり。かくて、「夜なんど、いかなる行(ぎやう)をかするらん」とて聞けども、さらに勤むることなし。
  
 聖、「いかなる行をかなす」と問へば、翁、さらに行なき由を答ふ。聖、重ねて言ふやう、「われ、まことは、なんぢが往生すべき由を夢に見侍(はんべ)てげれば、わざと尋ね来たるなり。隠すことなかれ」と言ふ。 聖、「いかなる行をかなす」と問へば、翁、さらに行なき由を答ふ。聖、重ねて言ふやう、「われ、まことは、なんぢが往生すべき由を夢に見侍(はんべ)てげれば、わざと尋ね来たるなり。隠すことなかれ」と言ふ。
text/hosshinju/h_hosshinju3-01.txt · 最終更新: 2017/04/29 16:50 by Satoshi Nakagawa