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text:chomonju:s_chomonju724

古今著聞集 魚虫禽獣第三十

724 衛の懿公と申しける王は心つたなくおはしまして・・・

校訂本文

衛の懿公と申しける王は、心つたなくおはしまして、かしこき臣下などをば賞し給はで、鶴をのみ愛し給ひて、御幸(みゆき)の折は同じく輿(こし)に乗せなどし給ひけるに、夷(えびす)来たりて国を亡ぼす時、「鶴君の敵(かたき)をばしりぞくべし」と言ひて防ぐ人なかりければ、夷、懿公を殺して、みな食らひて、その肝ばかりを土の上に残して帰りにければ、懿公の臣弘演といふ人、天に恥ぢて、おのれが腹を裂きて、君の肝を入れて死にけり。鶴、その益なくや。

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衛懿公と申ける王は心つたなくおはしましてか
しこき臣下なとをは賞し給はて鶴をのみ
愛し給てみゆきのおりはおなしくこしにのせな
とし給けるにゑひすきたりて国をほろほすと
き鶴君のかたきをはしりそくへしといひてふ
せく人なかりけれはゑひす懿公をころしてみな/s564r
くらひてそのきもはかりをつちのうへにのこして
かへりにけれは懿公の臣弘演といふ人天にはちて
をのれかはらをさきて君の肝をいれてしに
けり鶴その益なくや/s564l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/564



text/chomonju/s_chomonju724.txt · 最終更新: 2021/02/04 22:36 by Satoshi Nakagawa