text:chomonju:s_chomonju593
古今著聞集 変化第二十七
593 承平元年六月二十八日未刻に衣冠着たる鬼の長一丈余りなるが・・・
校訂本文
承平元年六月二十八日未刻に、衣冠着たる1)鬼の長(たけ)一丈余りなるが、弘徽殿の東欄のほとりに現じて、やがて失せにけり。あるいは夢想とも人申しけり。一定(いちぢやう)を知らず。
そのころ十ヶ日ばかり、暁に及びて、八省院と中務省の東の道との間に、人馬の声、東に向かひて多く聞こえけり。まことにはなかりけり。これも鬼のしわざにや。
翻刻
承平元年六月廿八日未剋に衣冠着なる鬼の長 一丈あまりなるか弘徽殿の東欄のほとりに現してやか てうせにけり或は夢想とも人申けり一定をしらす 其比十ヶ日はかり暁にをよひて八省院と中務省/s468l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/468
の東の道とのあひたに人馬のこゑ東にむかひて おほくきこえけりまことにはなかりけりこれも鬼のしは さにや/s469r
1)
「たる」は底本「なる」。諸本により訂正。
text/chomonju/s_chomonju593.txt · 最終更新: 2020/11/10 00:51 by Satoshi Nakagawa