text:chomonju:s_chomonju582
古今著聞集 怪異第二十六
582 同じき四年正月下旬に同じ国の海辺戞を打つ声聞こえけり・・・
校訂本文
同じき四年1)正月下旬に、同じ国2)の海辺、戞(ほこ)を打つ声聞こえけり。
夜明けて見れば、島根郡の境(さかひ)より、楯縫郡の境まで、一町あまりがほど、氷を重ねて塔を造りて、並べ立てたりけり。おのおの高さ三丈余り、めぐり七・八尺ぞありける。後には消えや失せけむ。
何のしわざといふことを知らず。恐ろしかりけることなり。
翻刻
そはたちてありける同四年正月下旬に同国海辺戞 をうつこゑきこえけり夜あけてみれは嶋根郡のさかひよ り楯縫郡のさかひまて一町あまりかほと氷をかさねて 塔をつくりてならへたてたりけり各たかさ三丈あまり めくり七八尺そありける後にはきえやうせけむなに のしわさといふことをしらすおそろしかりける事なり/s465r
text/chomonju/s_chomonju582.txt · 最終更新: 2020/11/08 00:42 by Satoshi Nakagawa