text:chomonju:s_chomonju578
古今著聞集 興言利口第二十五
578 賀縁阿闍梨と聞こえし人何事の意趣かありけむ慈恵僧正を濫行肉食の人たる由・・・
校訂本文
賀縁阿闍梨1)と聞こえし人、何事の意趣かありけむ、慈恵僧正2)を濫行肉食の人たる由、不実利口を申したりけるを、僧正返り聞き給ひて、いきどほりて、起請文(きしやうもん)を書きて、三塔に披露せられけり。
その詞にいはく、
若謂令破戒無慚之僧住持天台座主者、恐貽狐疑於先賢、方致狼藉於後輩者歟。因茲今対三宝、被陳此事。若し破戒無慚の僧をして天台座主に住持せしむと謂はば、恐らくは狐疑を先賢に貽(のこ)し、方(まさ)に狼藉を後輩に致さんか。ここに因りて今三宝に対して、この事を被陳す。
持律の人に虚言(そらごと)を申し付けたる報ひとて、狂ひ歩(あり)きけりとぞ。起請のおこり、これなり。
翻刻
賀縁阿闍梨と聞えし人何事の意趣かありけむ慈 恵僧正を濫行肉食の人たる由不実利口を申 たりけるを僧正返聞給ていきとをりて起請文 を書て三塔に披露せられけり其詞云 若謂令破戒無慚之僧住持天台座主者恐貽 狐疑於先賢方致狼藉於後輩者歟因茲 今対三宝被陳此事 持律の人にそら事を申付たるむくひとてくるひ ありきけりとそ起請のおこりこれなり/s457l
text/chomonju/s_chomonju578.txt · 最終更新: 2020/11/04 22:50 by Satoshi Nakagawa