text:chomonju:s_chomonju541
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text:chomonju:s_chomonju541 [2020/10/11 21:04] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:chomonju:s_chomonju541 [2020/10/11 21:10] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | この女院((高倉天皇皇妃藤原殖子。[[s_chomonju540|540]]参照。))の女房どもの中に、いとをかしきこと多く侍りけり。 | + | この女院((七条院。高倉天皇皇妃藤原殖子。[[s_chomonju540|540]]参照。))の女房どもの中に、いとをかしきこと多く侍りけり。 |
医師時成((和気時成))が女(むすめ)、備後とて候ひけり。仏師雲慶((運慶))が女、越前とて候ひけるが、ある日、越前、額に瘡(かさ)の出でたりけるを、備後に向ひて、「や、おつぼね。この瘡見てたび候へ。さすが御身ぞ、見知らせ給はん」と言ひたりけるを、備後とりもあへず見るままに、「眉間((白毫を指す。))を入れ給へるをば、何とかはし侍るべき」と答へたりける、心の早さをかしかりけり。互ひにかくざれあふことをのみしける。 | 医師時成((和気時成))が女(むすめ)、備後とて候ひけり。仏師雲慶((運慶))が女、越前とて候ひけるが、ある日、越前、額に瘡(かさ)の出でたりけるを、備後に向ひて、「や、おつぼね。この瘡見てたび候へ。さすが御身ぞ、見知らせ給はん」と言ひたりけるを、備後とりもあへず見るままに、「眉間((白毫を指す。))を入れ給へるをば、何とかはし侍るべき」と答へたりける、心の早さをかしかりけり。互ひにかくざれあふことをのみしける。 | ||
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蓮尊房は尾張とて候ひけり。正月の朔日(ついたち)に、時成が女に向ひて、「『会ひがたきは友なり。失ひやすきは時なり』と申ことの候ふな」と問ひたりければ、備後、「孟春早く来て、楽しむべきは時成とぞ知りて候ふ」と答へけり。これもいみじく言ひて侍るにこそ。 | 蓮尊房は尾張とて候ひけり。正月の朔日(ついたち)に、時成が女に向ひて、「『会ひがたきは友なり。失ひやすきは時なり』と申ことの候ふな」と問ひたりければ、備後、「孟春早く来て、楽しむべきは時成とぞ知りて候ふ」と答へけり。これもいみじく言ひて侍るにこそ。 | ||
- | 尾張が咳病(がいびやう)をしてわづらひけるを、備後とぶらひとて、「何を病み給ふぞ」と言ひたりける返事に、「餓鬼病を病み候ふぞ」と答へたりければ、備後、「さらば、貧相子(ひんさうじ)((「檳榔子」をもじった。))を煎じて召せと言ひたりけり。 | + | 尾張が咳病(がいびやう)をしてわづらひけるを、備後とぶらひとて、「何を病み給ふぞ」と言ひたりける返事に、「餓鬼病を病み候ふぞ」と答へたりければ、備後、「さらば、貧相子(ひんさうじ)((「檳榔子」をもじった。))を煎じて召せ」と言ひたりけり。 |
すべてかやうの言葉たたかひ、常のことなり。 | すべてかやうの言葉たたかひ、常のことなり。 |
text/chomonju/s_chomonju541.1602417879.txt.gz · 最終更新: 2020/10/11 21:04 by Satoshi Nakagawa