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text:chomonju:s_chomonju535

古今著聞集 興言利口第二十五

535 馬助入道関東へ下向の時もかかること侍りき・・・

校訂本文

馬助入道1)、関東へ下向の時もかかること2)侍りき。

中太冠者といふ年ごろの中間男(ちゆうげんをとこ)に、行縢(むかばき)の余りたりける、一懸け取らせたりけるを、この定(ぢやう)に履きて、いま片皮をば、わが履くべきものとも思はで、「あれをばさて、誰(た)が履き3)候はんぞ」と人に問ひたりける、ただ同じほどのくせごとなり。

このやうを、馬助入道語るを聞きて、つかうまつれる、

  履きさして人のためには残すとも片行縢に誰かなるべき

翻刻

馬助入道関東へ下向の時もかかる事侍き中太冠
者といふ年比の中間男に行縢のあまりたりける一かけ/s423r
とらせたりけるを此定にはきていまかた皮をはわかはく
へき物とも思はてあれをはさてたかはきゝ候はんそと
人にとひたりけるたたおなしほとのくせ事なりこの
やうを馬助入道かたるを聞てつかうまつれる
 はきさして人のためにはのこすともかたむかはきにたれかなるへき/s423l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/423

1)
藤原孝時か。
2)
534参照。
3)
「履き」は底本「はきゝ」。諸本により訂正。


text/chomonju/s_chomonju535.txt · 最終更新: 2020/10/07 18:58 by Satoshi Nakagawa