text:chomonju:s_chomonju443
古今著聞集 偸盗第十九
443 澄恵僧都いまだ童にて侍りける時介錯しける僧髪けづらんとて・・・
校訂本文
澄恵僧都、いまだ童にて侍りける時、介錯(かいしやく)しける僧、「髪けづらん」とて、手箱を乞ひけるに、その手箱失せにけり。いかに求むれども見えず。はや盗人の取りてけるなり。
その時、この稚児(ちご)、とりもあへず詠み侍りける。
白波の立ち来るままに玉くしげふたみの浦の見えずなりぬる
翻刻
澄恵僧都いまた童にて侍ける時かいしやく しける僧かみけつらんとて手箱をこひけるに そのてはこうせにけりいかにもとむれともみえす はや盗人のとりてけるなりその時このちこと りもあへすよみ侍ける しら浪の立くるままに玉くしけふたみの浦のみえすなりぬる/s347r
text/chomonju/s_chomonju443.txt · 最終更新: 2020/07/09 19:25 by Satoshi Nakagawa