text:chomonju:s_chomonju435
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text:chomonju:s_chomonju435 [2020/06/24 21:42] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:chomonju:s_chomonju435 [2020/06/24 21:43] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 正上座((熊野別当行快))といふ弓の上手、若かりける時、三河国より熊野へ渡りけるに、伊勢国いらごの渡りにて海賊にあひにけり。 | + | 正上座((行快))といふ弓の上手、若かりける時、三河国より熊野へ渡りけるに、伊勢国いらごの渡りにて海賊にあひにけり。 |
悪徒等が舟すでに((「すでに」は底本「すてゝ」。諸本により訂正。))近付きて、「御米参らせよ」と言ひけるを、正上座、人を出だして言はせけるは、「これは熊野へ参る御米なり。賊徒等、望みあるべからず」。悪徒にかく言ふを聞きて、「熊野の御米と見ればこそ、さうなくはとどめね。しからずは、かくまて言葉にて言ひてんや」と言ふ。上座、その時腹巻きて、弓に蟇目(ひきめ)一つ、神頭(じんどう)一つを取り具して、楯つかせて舟の舳(へ)に進み((「進み」は底本「すみ」。諸本により訂正。))出でて、「悪徒等が望み申すこと、いかにもかなふべからず。とどめぬべくは、御米なりとも、とどめよかし」と言ふを、海賊一人、物具(もののぐ)して出で向ひて、言葉戦ひをしけり。 | 悪徒等が舟すでに((「すでに」は底本「すてゝ」。諸本により訂正。))近付きて、「御米参らせよ」と言ひけるを、正上座、人を出だして言はせけるは、「これは熊野へ参る御米なり。賊徒等、望みあるべからず」。悪徒にかく言ふを聞きて、「熊野の御米と見ればこそ、さうなくはとどめね。しからずは、かくまて言葉にて言ひてんや」と言ふ。上座、その時腹巻きて、弓に蟇目(ひきめ)一つ、神頭(じんどう)一つを取り具して、楯つかせて舟の舳(へ)に進み((「進み」は底本「すみ」。諸本により訂正。))出でて、「悪徒等が望み申すこと、いかにもかなふべからず。とどめぬべくは、御米なりとも、とどめよかし」と言ふを、海賊一人、物具(もののぐ)して出で向ひて、言葉戦ひをしけり。 |
text/chomonju/s_chomonju435.txt · 最終更新: 2020/06/24 21:43 by Satoshi Nakagawa