text:chomonju:s_chomonju428
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| — | text:chomonju:s_chomonju428 [2020/06/20 12:18] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa | ||
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| + | [[index.html|古今著聞集]] 偸盗第十九 | ||
| + | ====== 428 元興寺といふ琵琶はさうなき名物なり・・・ ====== | ||
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| + | ===== 校訂本文 ===== | ||
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| + | 元興寺といふ琵琶は、さうなき名物なり。紫檀の甲(かふ)。太絃・細絃あひかなひて、音勢もありて、めでたき琵琶にてぞ侍りける。件(くだん)((「件」は底本「仲」。諸本により訂正。))の琵琶は、昔、かの寺修理の時、用途のために、その寺の別当売りけるを、後朱雀院((後朱雀天皇))春宮の御時、買ひ召されにけり。 | ||
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| + | 修理を加へらるべきことありて、保仲((藤原保仲))がもとへつかはしける時、何とありけることにか、その使、念珠引きの妻なりけり、そのあひだに、かの夫の男これを見て、甲の尻の方三寸ばかりを盗みて切りてけり。あさましなども言ふばかりなし。さて、あらぬ木にて継がれにけり。 | ||
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| + | いくほどの所得せんとて、かくばかりの重宝(ぢゆうほう)をかたはになしけん。盗人の心いづれもとは言ひながら、うたてく口惜しかりけるものかな。 | ||
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| + | ===== 翻刻 ===== | ||
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| + | 元興寺といふ琵琶は左右なき名物なり紫檀の | ||
| + | こうふと絃ほそ絃あひかなひて音勢もありて／s325l | ||
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| + | http:// | ||
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| + | 目出き琵琶にてそ侍ける仲比巴は昔彼寺修理 | ||
| + | の時用途のために其寺の別当売けるを後朱 | ||
| + | 雀院春宮の御時買めされにけり修理をくわへらるへ | ||
| + | き事ありて保仲かもとへつかはしける時なにと | ||
| + | ありけることにかその使念珠引の妻なりけり | ||
| + | そののあひたに彼夫の男これをみて甲のしりのかた | ||
| + | 三寸はかりをぬすみてきりてけりあさましなともいふは | ||
| + | かりなしさてあらぬ木にてつかれにけり幾程の所 | ||
| + | 得せんとてかくはかりの重宝をかたわになしけん | ||
| + | 盗人の心いつれもとはいひなからうたてく口惜かり | ||
| + | けるものかな／s326r | ||
| + | |||
| + | http:// | ||
text/chomonju/s_chomonju428.txt · 最終更新: 2020/06/20 12:18 by Satoshi Nakagawa