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text:chomonju:s_chomonju425

古今著聞集 博奕第十八

425 鎌倉修理大夫時房朝臣の前にて双六の勝負ありけり・・・

校訂本文

鎌倉修理大夫時房朝臣1)の前にて双六の勝負ありけり。九郎三・三河房・信濃七郎などありけるに、懸物(かけもの)を出だして、「ひきめ打ちたらん者取るべし」と定めてけり。

一番に信濃七郎進みて、筒(どう)をしばし振りくぬきたりければ、一二を打ちたりけり。次に三河房進みて、調一(でつち)を打ちたりけり。人々目を驚(おどろ)かして、「このうへは何をか打たん。三河房、懸物取りつ」とののしりあへるに、九郎三進みて、よく久しく筒を振りて、調一ををり重ねたりけり。

「凡夫のしわざにあらず」とて、九郎三取りてけり。

翻刻

鎌倉修理大夫時房朝臣のまへにて双六の勝負あ/s323l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/323

りけり九郎三参川房信濃七郎なとありけるに
懸物を出してひきめうちたらんものとるへしとさ
ためてけり一番に信濃七郎すすみて筒をしはし
ふりくぬきたりけれは一二をうちたりけり次に
参川房すすみて調一を打たりけり人々目をお
とろかして此うへはなにをかうたん参川房懸物と
りつとののしりあへるに九郎三すすみてよく久く
筒をふりて調一をおり重たりけり凡夫のしは
さにあらすとて九郎三とりてけり/s324r

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/324

1)
北条時房
text/chomonju/s_chomonju425.txt · 最終更新: 2020/06/16 22:50 by Satoshi Nakagawa