ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:chomonju:s_chomonju399
no way to compare when less than two revisions

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。


text:chomonju:s_chomonju399 [2020/05/20 17:10] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
行 1: 行 1:
 +[[index.html|古今著聞集]] 画図第十六
 +====== 399 伊予入道は幼くより絵をよく書き侍りけり・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +伊予入道((藤原隆親。藤原隆成とも。))は、幼くより絵をよく書き侍りけり。父、うけぬことになん思へりけり。
 +
 +無下(むげ)に幼少の時、父の家の中門の廊の壁に、土器(かはらけ)の割れにて、不動((不動明王))の立ち給へるを書きたりけるを、客人(まらうど)誰(たれ)とかや、たしかに聞きしを忘れにけり、これを見て、「誰(た)が描きて候ふにか」と驚きたる気色にて問ひければ、主(あるじ)うち笑ひて、「これはまことしき者の描きたるには候はず。愚息の小童が書きて候ふ」と言はれければ、いよいよ尋ねて、「しかるべき天骨とはこれを申し候ふぞ。このこと制し給ふことあるまじく候ふ」となん言ひける。げにもよく絵見知りたる人なるべし。
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  伊与入道はおさなくより絵をよく書侍けり父うけぬ/s301r
 +
 +  事になん思へりけり無下に幼少の時父の家の中門の
 +  廊の壁にかはらけのわれにて不動の立給へるを書たり
 +  けるを客人たれとかや慥に聞しを忘にけりこれを
 +  みてたかかきて候にかとおとろきたるけしきにて
 +  とひけれはあるしうちわらひてこれはまことしき物の
 +  かきたるには候はす愚息の小童か書て候といはれ
 +  けれはいよいよ尋て可然天骨とはこれを申候そ此
 +  事制し給事あるましく候となんいひけるけにも
 +  よく絵みしりたる人なるへし/s301l
 +
 +http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/301
  
text/chomonju/s_chomonju399.txt · 最終更新: 2020/05/20 17:10 by Satoshi Nakagawa