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text:chomonju:s_chomonju394
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text:chomonju:s_chomonju394 [2020/05/17 23:45] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
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 +[[index.html|古今著聞集]] 画図第十六
 +====== 394 玄象の撥面の絵は消えて久しくなりにたれば知れる人なし・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +玄象(げんじやう)の撥面(ばちめん)の絵は、消えて久しくなりにたれば、知れる人なし。二条殿(教通)((藤原教通))仰せられけるは、「玄象が撥面の絵様は、馬上にて打珠(だしゆ)の者、腰に珠をさして舞ひたる姿なり。良道が撥面は、件(くだん)の絵を模して描かれたる」となん。このこと、中納言師時卿((源師時))、記し置き侍り。
 +
 +しかあるを、良道が撥面、当時その儀なし。もし描き改められけるにや。当時の絵様は、総角(あげまき)の童子、竜に乗りて、水瓶を持ちて、瓶より水を流したるを書きたるなり。
 +
 +後高倉院((高倉天皇皇子守貞親王))の御時、孝道朝臣((藤原孝道))、勅定によりて琵琶を造進
 +しける時、仰せに、「琵琶には作者の名を付くべし」とて、孝道をうつされたるなり。竜に乗りたる総角の童子にて侍るなり。
 +
 +良道が名も、作者の名を付けられたるとかや。また主(ぬし)の名なりともいふ。いづれか実説に侍らん。尋ぬべし。
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  玄象撥面の絵は消て久しく成にたれはしれる人
 +  なし二条殿(教通)被仰けるは玄象か撥面の絵様は馬
 +  上にて打珠の物腰に珠をさして舞たる姿也
 +  良道か撥面は件絵を模してかかれたるとなん此事
 +  中納言師時卿記し置侍りしかあるを良道か撥面
 +  当時其儀なしもしかきあらためられけるにや
 +  たうしの絵様は総角の童子龍に乗て水/s298r
 +
 +  瓶をもちて瓶より水を流したるを書たるなり後
 +  高倉院御時孝道朝臣勅定によりて琵琶を造進
 +  しける時仰に比巴には作者の名を付へしとて
 +  孝道をうつされたる也龍に乗たる総角の童子
 +  にて侍なり良道か名も作者の名を付られたる
 +  とかや又ぬしの名なりともいふいつれか実説に
 +  侍らん尋ぬへし/s298l
 +
 +http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/298
  
text/chomonju/s_chomonju394.txt · 最終更新: 2020/05/17 23:45 by Satoshi Nakagawa