text:chomonju:s_chomonju388
古今著聞集 画図第十六
388 帥の大臣に屏風を売る人ありけり・・・
校訂本文
帥の大臣(おとど)1)に屏風を売る人ありけり。公茂2)・弘高3)などに見せられけり。
公茂・弘高を招きて言ひけるは、「この野筋、この松、なんぢ及ぶべからず。おそらくは公忠4)が描くところか」。弘高、承伏しけり。公茂がいはく、「公忠は屏風を書くとては、必ずその屏風のひらのすみごとに、おのれが名を書きけり」。
こころみにはなちて見るに、案のごとく公忠が字ありけり。いみしかりけることなり。
翻刻
帥のおととに屏風を売人ありけり公茂弘高なとに みせられけり公茂弘高をまねきていひけるは此野 筋此松汝及へからすおそらくは公忠かかく所か弘 高承伏しけり公茂か云公忠は屏風を書とては 必其屏風のひらのすみことにをのれか名を書けり こころみにはなちてみるに案のことく公忠か字 ありけりいみしかりける事也/s294l
text/chomonju/s_chomonju388.txt · 最終更新: 2020/05/15 21:40 by Satoshi Nakagawa