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古今著聞集 武勇第十二
342 承久三年の乱れに宇津宮越中前司頼業いまだ無官なりけるが・・・
校訂本文
承久三年の乱れに宇津宮越中前司頼業1)、いまだ無官なりけるが、宇治川を渡すとて、押し流されて、水の底へ入りたりけるに、石にかきつきて、鎧を脱がんとしけるが、上帯しめて解けざりければ、引ちぎりて脱ぎて、泳ぎ上がりたりけり。
さしも速き川の底にて、かく振舞ひたりける。ゆゆしきことなりけり。水練なりけり。
翻刻
承久三年のみたれに宇津宮越中前司頼業未 無官なりけるか宇治川をわたすとておしなかされて 水の底へ入たりけるに石にかき付て鎧をぬかんとし けるか上帯しめてとけさりけれは引ちきりてぬ きておよきあかりたりけりさしもはやき河の 底にてかく振舞たりけるゆゆしき事なりけり 水練成けり/s253l
1)
横田頼業
text/chomonju/s_chomonju342.txt · 最終更新: 2020/04/27 12:12 by Satoshi Nakagawa