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text:chomonju:s_chomonju325

古今著聞集 好色第十一

325 頭中将忠季朝臣督典侍を心がけて年月を重ねけれども・・・

校訂本文

頭中将忠季朝臣1)、督典侍(かうのすけ)(法勝寺執行能円法印女)を心がけて、年月を重ねけれども2)、いかにもなびかざりけるに、ある夜、雪のいみじく降りたりけるに、家より馬に乗りて参内しける道のありさま、雪のおもしろさなどを、始めより絵に描きて、六位を語らひて、かの局へ投げ入れさせたり。

督典侍、取りて見て、あはれとや思ひけん、また絵にやめでけん、それより逢ひにけり。

その後、久しく通ひて、少将親平3)は、かの腹になんまうけける。

翻刻

頭中将忠季朝臣督典侍(法勝寺執行能円法印女)を心かけて年月をかさねけ
ねともいかにもなひかさりけるに或夜雪のいみしく降たり
けるに家より馬に乗て参内しける道のありさま雪の
おもしろさなとを始より絵にかきて六位をかたらひて彼
局へなけ入させたり督のすけ取てみてあはれとや思けん
又絵にやめてけんそれよりあひにけり其後久しくかよひ
て少将親平はかの腹になんまうけける/s225r

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/225

1)
藤原忠季
2)
「けれども」は底本「けねとも」。諸本により訂正
3)
藤原親平
text/chomonju/s_chomonju325.txt · 最終更新: 2020/04/20 18:50 by Satoshi Nakagawa