text:chomonju:s_chomonju288
古今著聞集 能書第八
288 延喜の聖主醍醐寺を御建立の時道風朝臣に額書き進らすべきよし仰せられて・・・
校訂本文
延喜の聖主1)、醍醐寺を御建立の時、道風朝臣2)に額書き進(まゐ)らすべきよし仰せられて、額二枚を賜はせけり。一枚は南大門、一枚は西門の料(れう)なり。
真草3)両様に書きて奉るべきよし、勅定ありければ、仰せにしたがひて、両様に書て進らせたりけるを、真に書きたるは南大門の料なるべきを、草の額を晴(はれ)の門に打たれたりけり。
道風、これを見て、「あはれ賢王や」とぞ申しける。そのゆゑは、草の額ことに書きすまして覚えけるが、叡慮にかなひて、かく日ごろの儀あらたまりて打たれける。まことにかしこき御はからひなるべし。それを讃め申すなるべし。
翻刻
延喜の聖主醍醐寺を御建立の時道風朝臣に額書 進へきよし仰られて額二枚をたまはせけり一枚は 南大門一枚は西門の料也真草両様に書てたてまつる へきよし勅定ありけれは仰にしたかひて両様に 書てまいらせたりけるを真に書たるは南大門の料なる へきを草の額をはれの門にうたれたりけり道風/s200l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/200
これをみてあはれ賢王やとそ申けるその故は草の 額ことに書すましておほえけるか叡慮に叶てかく 日比の儀あらたまりてうたれける誠にかしこき御は からひなるへしそれをほめ申なるへし/s201r
text/chomonju/s_chomonju288.txt · 最終更新: 2020/04/10 15:47 by Satoshi Nakagawa