text:chomonju:s_chomonju275
古今著聞集 管絃歌舞第七
275 同じき五年の宇治の一切経会に雨降りて四日行なはれけり・・・
校訂本文
同じき1)五年の、宇治の一切経会に雨降りて、四日行なはれけり。
大殿2)・尼北政所3)・内大臣殿4)、御わたりありけり。大殿、牙(げ)の笛を清延5)に吹き試みさすべきよし、仰せられければ、内大臣、皇后宮亮顕親朝臣6)をして、清延を召して賜(た)びける。こと果てて、「返上す」とて、「所々こはき穴候へども、心得てつかうまつり候へば、神妙(しんべう)に候ふなり」とぞ申しける。つきづきしかりけり。
清延は正清7)が子、笛の一の者にてぞ侍りける。
翻刻
同五年の宇治の一切経会に雨ふりて四日行なはれけり/s186r
大殿尼北政所内大臣殿御わたりありけり大殿牙の笛 を清延に吹こころみさすへきよし仰られけれは内大臣 皇后宮亮顕親朝臣をして清延をめしてたひける事 はてて返上すとて所々こはき穴候へとも心えてつかうまつり 候へは神妙に候也とそ申けるつきつきしかりけり清延 は正清か子笛の一の物にてそ侍ける/s186l
text/chomonju/s_chomonju275.txt · 最終更新: 2020/04/06 18:17 by Satoshi Nakagawa