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text:chomonju:s_chomonju260

古今著聞集 管絃歌舞第七

260 嘉承二年三月五日鳥羽殿に行幸ありて六日和歌の興ありける・・・

校訂本文

嘉承二年三月五日、鳥羽殿に行幸ありて、六日、和歌の興ありける。序代は中納言宗忠1)ぞ書かれける。次に御遊、主上2)笛を吹かせおはしましけり。殿下3)箏・宗忠卿拍子・宗通卿4)付歌(つけうた)・新中納言基綱卿5)琵琶・左京大夫顕仲6)笙・俊頼朝臣7)篳篥(ひちりき)・有賢朝臣8)和琴・家俊朝臣9)付歌。呂、安名尊(あなたふと)三反・桜人(さくらびと)一反・席田(むしろだ)二反・鳥の破、急・賀殿(かてん)の急。律、青柳一反・万歳楽、五常楽の急。

糸竹の調べことにおもしろかりけり。法皇10)、簾中にてぞ聞こし召しける。感興のあまり、密々に北面の御所の方に、中納言顕通卿11)以下を召されたりけり。殿下も参らせ給ひけるとぞ。盃酌・朗詠・今様などありけり。

八日、主上、御船に召して御遊ありけり。その後、舞楽・御贈物・勧賞(けんじやう)などありて、還御ありける。

翻刻

嘉承二年三月五日鳥羽殿に行幸ありて六日和哥の
興ありける序代は中納言宗忠そかかれける次御遊主上
笛をふかせおはしましけり殿下箏宗忠卿拍子宗通卿
付哥新中納言基綱卿琵琶左京大夫顕仲笙俊頼
朝臣篳篥有賢朝臣和琴家俊朝臣付哥呂安名尊
三反桜人一反席田二反鳥破急賀殿急律青柳一/s173l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/173

反万歳楽五常楽急糸竹のしらへことに面白かりけり
法皇簾中にてそきこしめしける感興のあまり蜜々に
北面の御所のかたに中納言顕通卿以下をめされたりけり殿
下もまいらせ給けるとそ盃酌朗詠今様なとありけり
八日主上御船にめして御遊ありけり其後舞楽御贈物
勧賞なとありて還御ありける/s174r

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/174

1)
藤原宗忠
2)
堀河天皇
3)
藤原忠実
4)
藤原宗通
5)
源基綱
6)
源顕仲
7)
源俊頼
8)
源有賢
9)
源家俊
10)
白河法皇
11)
源顕通
text/chomonju/s_chomonju260.txt · 最終更新: 2020/04/02 03:00 by Satoshi Nakagawa