text:chomonju:s_chomonju258
古今著聞集 管絃歌舞第七
258 嘉保二年八月八日院に行幸ありて相撲を御覧ぜられける・・・
校訂本文
嘉保二年八月八日、院1)に行幸ありて、相撲(すまひ)を御覧ぜられける。江帥2)、兼日(けんじつ)に式を作りて奉りける時、舞人狛光季申しけるは、「万歳楽(まんざいらく)をとどめて賀殿(かてん)を奏せんと思ふ。そのゆゑは、一つには、万歳楽は毎年に御覧ぜらるる曲なり。一つには説は賀殿同じかるべし。一つには舞興賀殿まされり。一つにはこの院新造たり。賀殿の儀あひかなへり」。
江帥、このよしを奏せられければ、しかるべきよし、勅定ありて、まづ賀殿・地久(ちきう)を 奏しけり。その時の内裏は堀河院、仙洞は閑院にて侍りけり。ほど近ければ、徒歩(かち)の行幸にてぞ侍りける。
翻刻
嘉保二年八月八日院に行幸ありて相撲を御覧せられ ける江帥兼日に式をつくりてたてまつりける時舞人 狛光季申けるは万歳楽をととめて賀殿を奏せんと思 その故は一には万歳楽は毎年に御らむせらるる曲也一には 説は賀殿おなしかるへし一には舞興賀殿まされり一には/s172l
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此院新造たり賀殿の儀あひ叶へり江帥このよしを奏せ られけれはしかるへきよし勅定ありてまつ賀殿地久を 奏しけり其時の内裏は堀川院仙洞は閑院にて侍けり 程ちかけれはかちの行幸にてそ侍ける/s173r
text/chomonju/s_chomonju258.txt · 最終更新: 2020/04/01 18:21 by Satoshi Nakagawa