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text:chomonju:s_chomonju253
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text:chomonju:s_chomonju253 [2020/03/30 16:48] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
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 +[[index.html|古今著聞集]] 管絃歌舞第七
 +====== 253 永保三年七月十三日、主上殿下南殿の巽の角に御座ありて・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +永保三年七月十三日、主上((白河天皇))・殿下((藤原師実))、南殿の巽(たつみ)の角に御座ありて、蔵人盛長((源盛長))をして、御琵琶牧馬(ぼくば)を召し寄せらる。すなはち錦の袋に入れて持て参りたりけり。御覧の後、大納言経信卿((源経信))に弾かせられけり。
 +
 +聞こし召して、「玄象といかに」と仰せられければ、大納言申されけるは、「昔、前の一条院((一条天皇))の御時、信明((源信明))・信義((源信義))等を召して、この御琵琶どもを弾かせられけるに、信明は玄象、信義は牧馬を弾ず。牧馬すぐれて聞こゆ。その時取り替へて、玄象を弾かせらるるに、玄象すぐれたり。その時、琵琶の勝劣あらず。弾く人によりけり」と奏せられけるを聞こし召して、玄象を取出でて弾かせられけるに、まことに勝劣なかりけり。
 +
 +このこと、かの卿たしかに記しおかれ侍り。
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  永保三年七月十三日主上殿下南殿巽角御座あり
 +  て蔵人盛長をして御比巴牧馬をめしよせらる即錦
 +  の袋に入てもてまいりたりけり御覧ののち大納言経/s167l
 +
 +http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/167
 +
 +  信卿に引かせられけりきこしめして玄象といかにと仰られ
 +  けれは大納言申されけるはむかし前一条院御時信明信
 +  義等をめしてこの御比琶ともをひかせられけるに信明は玄
 +  象信義は牧馬を弾す牧馬すくれてきこゆその時と
 +  りかへて玄象をひかせらるるに玄象すくれたり其時
 +  比琶の勝劣あらす弾人によりけりと奏せられけるをき
 +  こしめして玄象をとりいててひかせられけるにまことに勝劣
 +  なかりけり此事彼卿たしかに記しをかれ侍り/s168r
 +
 +http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/168
  
text/chomonju/s_chomonju253.txt · 最終更新: 2020/03/30 16:48 by Satoshi Nakagawa