text:chomonju:s_chomonju248
古今著聞集 管絃歌舞第七
248 後冷泉院の御時白河院に行幸ありて花宴侍りけるに・・・
校訂本文
後冷泉院1)の御時、白河院に行幸ありて、花の宴侍りけるに、殿上人、楽を奏して南庭をわたりけるに、笙にはかにさはることありて参らざりければ、すてにこと欠けなんとしけるに、大外記中原貞親は笙吹く者なりければ、「もし笙や随身(ずいじん)したる」と御尋ねありけるに、すなはち朱俊の懐(ふところ)より取り出だして侍りければ、叡感(えいかん)ありて、殿上人の奏楽につらなりて南殿をわたりける、時にとりてめづらしくいみじく2)なん侍りける。
翻刻
後冷泉院御時白河院に行幸ありて花宴侍け/s165r
るに殿上人楽を奏して南庭をわたりけるに笙 にわかにさはる事ありてまいらさりけれはすてに事 闕なんとしけるに大外記中原貞親は笙ふく物なり けれはもし笙や随身したると御尋ありけるにすなはち 朱俊の懐よりとりいたして侍けれは叡感ありて殿 上人の奏楽につらなりて南殿をわたりける時にとりて めつらしくいみしなん侍ける/s165l
text/chomonju/s_chomonju248.txt · 最終更新: 2020/03/29 13:17 by Satoshi Nakagawa