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text:chomonju:s_chomonju159

古今著聞集 和歌第六

159 応保二年正月のころ殿下女御殿の御方の女房をともなはせ給ひて・・・

校訂本文

応保二年正月のころ、殿下(てんが)1)、女御殿2)の御方の女房をともなはせ給ひて、禁中を見巡らせ給ひけるに、雪月いとおもしろかりける。内の女房の中より、蔵人の兵衛尉通定をして、女御殿の女房の中へ申し送りける、

  月晴れて雪降る雲の上はいかに

通定、左衛門陣の方へ尋ね参りて、このよしを申しければ、早く返事を申さるべきよし、殿下仰せられければ、

  立ち帰るべき心地こそせね

翻刻

応保二年正月の比殿下女御殿の御方の女房をとも
なはせ給て禁中を見めくらせたまひけるに雪月いと
おもしろかりける内の女房の中より蔵人の兵衛尉通定
をして女御殿の女房の中へ申をくりける
 月はれて雪ふる雲のうへはいかに/s120r
通定左衛門陣のかたへたつねまいりてこのよしを申けれは
はやく返事を申さるへきよし殿下仰られけれは
 たちかへるへき心ちこそせね/s120l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/120

1)
関白藤原基実
2)
藤原育子
text/chomonju/s_chomonju159.txt · 最終更新: 2020/02/27 22:50 by Satoshi Nakagawa