text:chomonju:s_chomonju143
古今著聞集 和歌第六
143 嵯峨天皇玄賓上人の徳を尊び給ひて僧都になし給ひける・・・
校訂本文
嵯峨天皇、玄賓上人の徳を尊び給ひて、僧都になし給ひける。玄賓、位記を木の枝にさしはさみて、和歌を書き付けて失せにけり。
外(と)つ国は水茎清しことしげき天(あめ)の下(した)にはすまぬまされり1)
さて、伯耆国に住み侍りけり。
天皇、叡感(えいかん)ありて、勅を下して施物ありけり。受け取りけるにや、おぼつかなし。
翻刻
嵯峨天皇玄賓上人の徳をたうとひ給て僧都に なしたまひける玄賓位記を木の枝にさしはさみて/s111l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/111
和歌を書付てうせにけり 外つ国は水茎きよしことしけきあめのしたにはすまぬまされつ さて伯耆国に住侍けり天皇叡感ありて勅をくたして 施物ありけりうけとりけるにやおほつかなし/s112r
1)
「まされり」は底本「まされつ」。諸本により訂正。
text/chomonju/s_chomonju143.txt · 最終更新: 2020/02/21 12:39 by Satoshi Nakagawa