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古今著聞集 和歌第六
142(序) 和歌は素戔烏の古風より起こりて久しく秋津州の習俗たり・・・
校訂本文
和歌は素戔烏(すさのを)の古風より起こりて、久しく秋津州(あきつしま)の習俗たり。三十一字(みそひともじ)の麗篇をもて、数千万端の心緒を述ぶ。古今序1)にいへるがごとく、人の心を種(たね)として、よろづの言の葉とぞなりにける。これによりて、神明・仏陀も捨て給はず、明王・賢臣も必ず賞し給ふ。春の花の下、秋の月の前、これをもて豫遊(よいう)のなかだちとし、これをもて賞楽の友とす。
翻刻
古今著聞集巻第五 和歌第六 和歌は素盞嗚の古風よりをこりて久く秋津州の 習俗たり三十一字の麗篇をもて数千万端の心緒 をのふ古今序にいへるかことく人の心をたねとして よろつのことの葉とそ成にけるこれによりて神明仏 陀もすてたまはす明王賢臣も必賞したまふ春の 花の下秋の月の前これをもて豫遊のなかたちとし これをもて賞楽の友とす/s111l
1)
『古今和歌集』仮名序
text/chomonju/s_chomonju142.txt · 最終更新: 2020/02/21 12:23 by Satoshi Nakagawa