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古今著聞集 文学第五
132 文治三年九月七日暁秀才長官為長夢に権右中弁定長朝臣北野宮寺にて・・・
校訂本文
文治三年九月七日暁、秀才長官為長1)、夢に、権右中弁定長朝臣2)、北野宮寺3)にて臨時作文を行ふと見てけり。
為長、このよしをかの弁に告げければ、弁驚きて、人々を勧めて、同じき十月六日、作文を遂げ行ひけり。題は、「廟庭歳月長(廟庭歳月長し」」。源中納言通親卿4)以下参られたりけり。序は大内記長守5)ぞ書きける。
披講の後、新中納言兼光卿6)・式部大輔光範朝臣7)・大学頭在茂朝臣8)・文章博士光輔朝臣9)等朗詠しけり。
昔の御余執なほおはしますにや。近ごろもかく文にはふけらせおはしますこと、多く侍り。
翻刻
文治三年九月七日暁秀才長官為長夢に権 右中弁定長朝臣北野宮寺にて臨時作文をおこ なふとみてけり為長このよしをかの弁につけけれは弁 おとろきて人々をすすめて同十月六日作文をとけお こなひけり題は廟庭歳月長源中納言通親卿 已下まいられたりけり序は大内記長守そ書ける/s101r
披講ののち新中納言兼光卿式部大輔光範朝臣大 学頭在茂朝臣文章博士光輔朝臣等朗詠し けりむかしの御余執猶おはしますにや近比もかく文に はふけらせおはします事おほく侍り/s101l
text/chomonju/s_chomonju132.txt · 最終更新: 2020/02/18 13:33 by Satoshi Nakagawa