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text:chomonju:s_chomonju102

古今著聞集 公事第四

102 承元二年十二月九日京官の除目行なはれけるに・・・

校訂本文

承元二年十二月九日、京官の除目行なはれけるに、ある大納言、硯筥(すずりばこ)を第二の大臣の前に置かれたりけるを、光明峰寺入道殿1)、中納言の左大将にて一筥置かせ給ふとて、さきの人の置きたがへられたる硯筥ながら、北へ押し上げさせ給たりける。人々讃め2)奉ることかぎりなかりけりなかりけり3)

その時、御年十六になり給ひにけるとかや。「みなし子の御身にて、あはれにめでたき御ことかな」と、時の人申しけるとなむ。

翻刻

承元二年十二月九日京官除目おこなはれけるに
或大納言硯筥を第二の大臣前にをかれたりけるを光明
峯寺入道殿中納言左大将にて一筥をかせ給ふとて
さきの人のおきたかへられたる硯筥なから北へをしあけ
させ給たりける人々たてまつることかきりかりけり
その時御年十六になり給にけるとかやみなし子の御身
にてあはれに目出御事かなと時の人申けるとなむ/s86r

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/86

1)
藤原道家・九条道家
2)
底本「讃め」なし。諸本により補う。
3)
「なかりけり」は底本「な」なし。諸本にほり補う。
text/chomonju/s_chomonju102.txt · 最終更新: 2020/02/03 01:24 by Satoshi Nakagawa