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text:chomonju:s_chomonju085

古今著聞集 政道忠臣第三

85 光方廷尉の佐にて着駄の政につきたりけるに・・・

校訂本文

光方1)、廷尉(ていゐ)の佐にて、着駄(ちやくだ)の政(まつりごと)につきたりけるに、雨の降りたりけるに、扇をさしたりけり。晴日夕陽に向ひてこそさすことにて侍るに、思ひ分かざりけるにや。

父の大納言2)、見物しける帰り、光方の辞状を書きて奉りけり。「前途(せんど)あるまじき者なり」とぞ言はれける。果してとく失せにけり。

翻刻

光方廷尉佐にて着駄政につきたりけるに雨の
ふりたりけるに扇をさしたりけり晴日夕陽にむかひ
てこそさす事にて侍るにおもひわかさりけるにや父
大納言見物しけるかへり光方の辞状をかき
てたてまつりけり前途あるましき者也とそいはれ/s77l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/77

けるはたしてとくうせにけり/s78r

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/78

1)
藤原光方・葉室光方
2)
藤原光頼・葉室光頼
text/chomonju/s_chomonju085.txt · 最終更新: 2020/01/29 21:25 by Satoshi Nakagawa