text:chomonju:s_chomonju061
古今著聞集 釈教第二
61 解脱房遁世の後壺坂の僧正のもとに湯治のために忍びて・・・
校訂本文
解脱房1)遁世の後、壺坂の僧正2)のもとに、湯治のために忍びて湯の刻限を待つほど、ある人の部屋に立ち隠れてゐたりけるに、法文宗義を談じけるに、解脱房忍びておはすると言ひければ、すなはちこの義を問ひたりければ、返り事に、
いにしへはふみ見しかども白雪の深き道には跡もおぼえず
かく詠みて答へたりけり。
翻刻
解脱房遁世の後壺坂の僧正のもとに湯治のために 忍て湯の剋限を待程或人の部屋に立かくれてゐた りけるに法文宗義を談しけるに解脱房忍ておは するといひけれは即此義を問たりけれは返事に/s57r
古はふみみしかとも白雪の深き道には跡もおほえす かくよみてこたへたりけり/s57l
text/chomonju/s_chomonju061.txt · 最終更新: 2020/01/22 22:56 by Satoshi Nakagawa