text:chomonju:s_chomonju049
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— | text:chomonju:s_chomonju049 [2020/01/13 23:00] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa | ||
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+ | [[index.html|古今著聞集]] 釈教第二 | ||
+ | ====== 49 一条院大僧都定昭は法相宗兼学の人なり・・・ ====== | ||
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+ | ===== 校訂本文 ===== | ||
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+ | 一条院大僧都定昭は法相宗兼学の人なり。天元二年二月九日、金剛峰寺((高野山金剛峰寺))座主に補して、同じき十二月二十一日、大僧都に転ず。四年八月十四日、東寺の長者、興福寺等別当を辞し申しける状にいはく、 | ||
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+ | この僧都、一条院の庭前に一株の橘の樹あり、久しくして枯木となりにけり。大仏頂呪((首楞厳経の陀羅尼))一反(いっぺん)を誦して、加持の間、すなはち花葉を出だしけり。 | ||
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+ | また舟に乗りて上洛しける時、天童十人出現して、舟をになひて岸に着しけり。僧都は「これ、十羅刹のわれを救ひ給ふぞ」と申しける。また不動明王も形を現じて擁護(おうご)し給ひけるとなん。 | ||
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+ | 永観元年三月廿三日入滅す。右手に五鈷を持ち、左手に一乗経を持つ。初めは密印を結び、後には法華経を誦す。薬王品に至りて、「於此命終即往安楽世界乃至恒河沙等諸仏如来」の文((「文」は底本「久」。諸本により訂正))を両三反誦して、弟子に告げていはく、「わが白骨((「白骨」は底本「自骨」。諸本により訂正))なほ法華経を誦して、すべからく一切を渡すべし」と言ひて、定印を結びて、居ながら終りにけり。 | ||
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+ | その後、墓内に経を誦する声聞こえけり。また鈴の声なども聞こえけるとなん。 | ||
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+ | ===== 翻刻 ===== | ||
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+ | 一条院大僧都定昭は法相宗兼学の人也天元二年/s44r | ||
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+ | 二月九日金剛峰寺座主に補して同十二月廿一日大僧都 | ||
+ | に転す四年八月十四日東寺長者興福寺等別当を | ||
+ | 辞し申ける状云 | ||
+ | 興福寺東寺金剛峰寺別当職事 | ||
+ | 右定昭従若年之時誦法華一乗修念仏三昧先年 | ||
+ | 蒙往生極楽之記而近曽夢中見可堕悪趣之由定 | ||
+ | 知依件等寺務所示現也如往年告為往生極楽謹辞 | ||
+ | 如件 | ||
+ | 天元四年八月十四日 大僧都定昭 | ||
+ | 此僧都一条院庭前に一株の橘の樹あり久しくして | ||
+ | 枯木と成にけり大仏頂呪一反を誦して加持の間則/s44l | ||
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+ | http:// | ||
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+ | 花葉を出しけり又舟に乗て上洛しける時天童十 | ||
+ | 人出現して舟をになひて岸に著けり僧都は是 | ||
+ | 十羅刹の我を救給そと申ける又不動明王も現形 | ||
+ | して擁護し給けるとなん永観元年三月廿三日入滅 | ||
+ | 右手に五鈷をもち左手に一乗経をもつ初は密印を | ||
+ | むすひ後には法華経を誦す薬王品に至て於此命終 | ||
+ | 即往安楽世界(乃/至)恒河沙等諸仏如来の久を両三反誦 | ||
+ | して弟子に告て云我自骨猶法華経を誦してすへから | ||
+ | く一切を渡すへしと云て定印を結て居なから終にけ | ||
+ | り其後墓内に経を誦するこゑきこえけり又鈴 | ||
+ | の声なともきこえけるとなん/s45r | ||
+ | |||
+ | http:// | ||
text/chomonju/s_chomonju049.txt · 最終更新: 2020/01/13 23:00 by Satoshi Nakagawa