text:chomonju:s_chomonju025
古今著聞集 神祇第一
25 前摂津守橘以政朝臣若くより賀茂につかうまつりけるに・・・
校訂本文
前摂津守橘以政朝臣、若くより賀茂1)につかうまつりけるに、四品の望みに憑かれて、思ひ余りて、申文を書きて、御戸開きの夜参りて、何となき願書の由にて、社司を語らひて、御宝殿に籠めてけり。
御戸さし参らせて後、「『四品の所望かなはねば、大明神の御計(はか)らひにまかせ参らせん』とて、申文を籠めつるなり」と披露しければ、社司・氏人等、「当社の御不覚になりぬべし」とて、神主以下、一日に百度をなんしける。
はたして四品許されにけり。
翻刻
前摂津守橘以政朝臣わかくより賀茂につかうまつり けるに四品の望につかれて思あまりて申文を書て御戸 開の夜まいりて何となき願書の由にて社司をかたら ひて御宝殿にこめてけり御戸さしまいらせて後四品の所望 かなはねは大明神の御計にまかせまいらせんとて申文をこめ つるなりと披露しけれは社司氏人等当社の御ふかくに 成ぬへしとて神主以下一日に百度をなんしけるはた して四品ゆるされにけり/s24l
1)
賀茂神社
text/chomonju/s_chomonju025.txt · 最終更新: 2020/01/14 13:16 by Satoshi Nakagawa